Claris Studio の概要

Claris Studio とは?

Claris Studio はデータを複数のビューで表示して多彩な Web エクスペリエンスを体験できるクラウドベースの開発環境です。Claris Studio のデータを FileMaker Pro カスタム App で直接使用して読み書きできるため、FileMaker Pro カスタム App を Web に簡単に拡張できるようになります。Claris Studio は名前付きユーザと匿名ユーザ (サインイン不要) の両方に公開できる機能を備えており、FileMaker Pro カスタム App の固定レイアウトよりも応答性のあるビューでより簡単に世界中のモバイルデバイスに公開範囲を広げることができます。このアプローチにより、組織内の内部ユーザ向けには複雑で高度にカスタマイズされた FileMaker Pro カスタム App、外部ユーザには Web ブラウザを使用して配信する Web ベースで応答性が高く、非常にスケーラブルな Claris Studio エクスペリエンスを提供することができ、両方の利点を取り入れることができます。

Claris Studio はどのように構成されていますか?

Claris Studio のすべてはチームというコンテキストの中で実行されます。チームはユーザ、リソース (データおよびそれを操作するために使用されるビュー)、およびリソースの整理方法とハブでのユーザとの共有方法で構成されています。

  • チーム

    • ユーザ

    • リソース

      • データ

      • ビュー

    • ハブ

ユーザ

Claris Studio には、2 つの基本的なユーザのタイプがあります:

  • 名前付きユーザはチームに招待されて Claris Studio でビューを使用するためにサインインする必要があるユーザです。

  • 匿名ユーザはビューの外部公開リンクを提供されたユーザでサインインは不要です。

名前付きユーザは 2 つの役割を持つことができます:

  • チームマネージャ: チームへのユーザの追加、メンバーのマネージャへの昇格、ビューとハブの作成および変更、およびすべてのビューでのデータの編集ができます。

  • チームメンバー: 共有されたビューのデータを表示および編集できますが、ビューのデザインを作成または変更することはできません。

ユーザの役割について」を参照してください。

データ

Claris Studio では、データはテーブルに保存されます。テーブルは顧客やタスクなどのトピックに関連するデータの名前付きコレクションであり、個別のフィールド (名前、住所、電話番号など) に別々のデータを持つ各項目のレコードで構成されています。フィールドはテーブル列でレコードはテーブル行です。Claris Studio チームはデータを 1 つまたは複数のビューで使用できる複数のテーブルを持つことができます。

Claris Studio テーブルは外部 SQL ソース (ESS) とほぼ同じ方法で FileMaker Pro カスタム App からアクセスできます。FileMaker Pro では、チームの Claris Studio データソースをファイルに追加してから、FileMaker Pro で使用する各 Claris Studio テーブルにテーブルオカレンスを追加できます。FileMaker Pro ヘルプの「Claris Studio データソースの使用」を参照してください。

ビュー

ビューではデータを表示して操作することができます。ビューの作成時に各ビューは 1 つのテーブルに関連付けられます。また、同じテーブルのデータにアクセスする複数のビューを作成できます。

定義済みのビュータイプにはあらかじめ設定された主要な機能があり、最小限の設定で使用できます。スプレッドシート、フォーム、カンバン、一覧/詳細などです。これらは 1 つのテーブルに基づいていますが、別のテーブルからオプション値を取得するドロップダウンフィールドを使用して他のテーブルのデータを参照できます。フィールドを追加してオブジェクトを配置し、プロパティを設定するだけですぐに使用できるようになります。

特定のタイプのビュー (現在は、フォーム、一覧/詳細、およびダッシュボードビュー) ではデータを表示するオブジェクトの追加と設定ができ、ユーザにデータを操作するためのツールを提供できます。例:

  • 個々のフィールドのデータを表示および編集するフィールドオブジェクト

  • テーブルの複数のレコードを表示するスプレッドシートオブジェクト

  • データの分析を視覚的に表示するグラフおよび集計オブジェクト

  • 別のビューへの移動、レコードの追加、Claris Studio の計算式の実行などをプログラムできるボタン

ハブ

Claris Studio のメインページは [ハブ] です。ハブは Claris Studio の App で、特定の目的および使用するユーザの特定のグループのビューおよびデータのコレクションです。チームマネージャはハブの作成、ビューの追加、共有するメンバーの決定を行います。また、同じビューを複数のハブに追加できるため、同じデータを異なるユーザに対して異なる方法で利用できるようにすることが可能です。

チームメンバーとの共有

特定のチームメンバーと共有するには、同じハブにビューとメンバーを追加します。チームメンバーがサインインすると、チームマネージャがメンバーを追加したハブのみが表示されます。

外部公開での共有

共有リンクを提供する相手とビューを共有するには (サインイン不要)、そのビューで外部公開をオンにして共有リンクをコピーします。その後リンクを電子メールに貼り付けるか、ユーザが見られる場所に投稿します。フォーム以外のタイプのビューでは、ユーザがデータのみを表示できるか、編集もできるかを制御できます。

特殊なハブ

チームマネージャが作成するハブ以外に 2 つの特殊なハブがあります:

  • 外部公開ビュー: ビューを外部公開すると、そのビューは [外部公開ビュー] ハブに追加されます。ここで共有リンクをコピーするか、リンクを無効にすることができます。

  • アーカイブ: どのハブにも属さないビューは、どのメンバーとも共有されず外部公開もされなくなります。アーカイブしたビューはここに移動されます。ここではビューの削除が可能です。

計算式

Claris Studio の計算および自動化エンジンは一般的なプログラミングタスクを容易にする、強固に型付けされた宣言型のスプレッドシートのような計算式によって動作します。こうした単一行の計算式が Claris Studio 全体で使用されています。例:

  • 計算フィールドの値を定義する

  • ビュー内のオブジェクトを表示または非表示にするかどうか決定する

  • スプレッドシートオブジェクト内に表示するレコードをフィルタする

  • フィールドオブジェクトを閲覧のみにするかどうか決定する

これら以外にも多くの場所で使用されています。

計算式の依存関係が変更されるたびに (たとえば、計算式で使用されるフィールド参照またはコンテキスト変数など)、スプレッドシートと同様に計算式は再計算されます。

テーブルおよびフィールド

テーブルには 1 つまたは複数のレコードが含まれており、各レコードにはすべてのレコードで一貫した名前を持つ複数のフィールドがあります。テーブルはテーブル名で参照できます (現在のテーブルの場合、thisTable ショートカットを使用すると計算式エディタが自動的に名前を入力します)。次にドット表記を使用して、そのテーブルのフィールドを参照することができます:

Employees.'First Name'

スペースを含むフィールド名 (およびテーブル名) はシングルクォートで囲む必要があります。

ビューおよびハブ

ビューの多くのタイプには計算式で参照できるオブジェクトが含まれています。ビューはビュー名で参照できます (現在のテーブルの場合、thisView ショートカットを使用すると計算式エディタが自動的に名前を入力します)。次にドット表記を使用して、そのビューのオブジェクトを参照することができます:

'Employee List'.spreadsheet

スペースを含むビュー名 (およびオブジェクト名) はシングルクォートで囲む必要があります。

フィールドおよびオブジェクト参照のドット表記

Claris Studio の計算式はスプレッドシートアプリケーションとよく似ていますが、ドット表記を使用するとより簡単にデータ構造にアクセスできます。たとえば、計算式にフィールド値を含める必要がある場合は、テーブル名を入力 (現在のテーブルの場合は、ショートカット thisTable を使用) してから、ドット (.) を入力します。すると計算式エディタによってそのテーブルのすべてのフィールドの一覧が表示されます。希望するフィールド名が選択されるまで入力を続けてから、Enter キーを押して確定します。この操作ではキーボードから指を離す必要はありません。

フィールド参照

たとえば、「Employees」という名前の現在のテーブルに「First Name」フィールドを入力するには、次のショートカットを入力するだけです:

thisTable

次に Enter を押すと、ショートカットが完全なテーブル名に置換されます:

Employees

次に . を押すと、そのテーブルのフィールドの一覧が表示されます。希望するフィールドが選択されるまで入力を続けます:

Employees.fir

次に Enter を押すと完全なフィールド名を取得できます (スペースを含むフィールド名はシングルクォートで囲まれます) 。結果は次のようになります:

Employees.'First Name'

オブジェクト参照

このプロセスは計算式がオブジェクトを参照する必要がある場合に似ています。まず最初に現在のビューまたはサブビュー (名前は「Employee List」) のショートカットを入力します:

thisView

次に Enter を押すと、ショートカットがビュー名に置換されます:

'Employee List'

. を押すとこのビューのオブジェクトの一覧が表示されます。希望するオブジェクト名が選択されるまで入力を続けます:

'Employee List'.spre

次に Enter を押します:

'Employee List'.spreadsheet

ここで再び . を押すと、オブジェクトの参照に使用できるプロパティが表示されます。spreadsheet オブジェクトの場合、次のプロパティにアクセスできます:

  • columns

  • recordCount

  • selectedRow

これらのプロパティの一部にはそれ自体のプロパティにアクセスできるものもあります。たとえば、columns の場合、その spreadsheet オブジェクトの列の一覧からプロパティを選択できます。

演算子

Claris Studio の計算式の演算子の中には FileMaker Pro と同じ演算子もありますが、いくつか異なる演算子もあり、スプレッドシートアプリケーションで見られるものと似ています。たとえば、+ や - などの算術演算子は同じですが、FileMaker Pro の AND や OR などの論理演算子は Claris Studio の計算式では && と || です。演算子の完全な一覧については、「Claris Studio の計算入門」を参照してください。

関数

Claris Studio では計算式で使用する関数のライブラリを提供しています。そうした関数の多くはおなじみのスプレッドシートアプリケーションとよく似ているか同じものです。入力すると、オートコンプリートによって一致する関数名が示されます。関数を選択して Enter を押すと、関数とその引数の説明が計算式エディタに表示されます。FileMaker Pro と類似する関数の一覧については、「Claris Studio の計算入門」を参照してください。

変数

他のプログラミング言語では、計算を実行して結果を変数に保存するのが一般的です。ただし Claris Studio のスプレッドシートのような計算式は入力が変更されると自動的に再計算されるため、それほど変数が必要ない場合があります。これは Claris Studio のビューの作成、理解、およびメンテナンスを容易にします。

ただし場合によっては、変数を使用して別の計算式を計算するコンテキストを確立する必要があります。これらの計算式は、たとえばユーザがボタン (スプレッドシートには存在しない) をクリックしたときに計算できます。ボタン操作の計算式内で、ビューのコンテキスト変数 (設定されたビュー内でのみ使用可能) またはグローバルコンテキスト変数 (現在の Claris Studio セッションの任意のビューで使用可能) を設定できます。SETVIEWCONTEXT または SETGLOBALCONTEXT 関数を使用して変数を設定します。例:

SETVIEWCONTEXT ({buttonState: true})

関数の単一の引数は 1 つまたは複数のキーと値のペアを設定できる JSON オブジェクトです。

さらに別の計算式では、context キーワードを使用して変数にアクセスできます。例:

context.buttonState

グローバルおよびビューのコンテキスト変数は同じ名前を持つことができますが、ビューのコンテキスト変数が優先されます。

エラー処理

構文エラーの場合、計算式エディタでは入力中にエラーが表示されます。問題のある部分に赤い下線が引かれ、カーソルを合わせるとエラーメッセージが表示されます。

実行時エラーの場合、ユーザの画面にエラーメッセージが表示されます。

実行時に計算式がエラーを返すかどうかを確認するには、ISERROR 関数を使用できます。エラーが発生した場合、計算式が返す値とは別の値またはエラーメッセージを返すように選択できます。例:

IF( ISERROR(1/Spreadsheet.Number), "Too bad. Try again.", 1/Spreadsheet.Number)

これはエラーがある場合は独自のメッセージ (2 番目の引数) を返します。そうでない場合は除算の結果を返します。