Claris FileMaker WebDirect 19 ガイド
はじめに
Claris® FileMaker WebDirect® は、ユーザが Web 上のカスタム App を操作するために Claris FileMaker Server® または Claris FileMaker Cloud® とともに使用する Claris FileMaker® クライアントです。Claris FileMaker Pro® を使用して作成したカスタム App は、FileMaker Server または FileMaker Cloud を使用して共有、管理、および構成します。
Web 上にデータを公開する場合は、セキュリティが重要になります。セキュリティのガイドラインについては、FileMaker セキュリティガイド、FileMaker Pro ヘルプ、FileMaker Server ヘルプ、および FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。
ハードウェアおよびソフトウェアの最小条件の詳細については、Claris FileMaker 19 動作環境を参照してください。
このガイドについて
このガイドでは、FileMaker WebDirect 用のカスタム App の設計および FileMaker Server または FileMaker Cloud によるカスタム App の共有に関する情報を提供します。
このガイドで使用する用語:
- 「Web 上での公開」- Web ブラウザを使用してインターネットまたはイントラネット上でアクセスできるカスタム App
- 「Web ユーザ」- FileMaker WebDirect を使用して Web 上に公開されている FileMaker Pro カスタム App を操作するユーザ
- 「カスタム App」、「データベース」、「ファイル」- FileMaker Pro で作成され、Web ユーザが FileMaker WebDirect を使用してアクセスするもの
- 「Admin Console」- 特定の製品について説明する場合以外、FileMaker Server および FileMaker Cloud の Admin Console を意味します。
追加のドキュメンテーションについては、プロダクトドキュメンテーションセンターをご覧ください。
FileMaker WebDirect の概要
Claris FileMaker WebDirect® は Web アプリケーションとデスクトップアプリケーションの特徴を組み合わせて FileMaker Pro の機能を Web 上のカスタム App で活用できるようにしています。FileMaker WebDirect では次の操作ができます:
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カスタム App を素早く簡単に誰にでも展開できます。カスタム App を利用するユーザに必要なのは互換性のある Web ブラウザだけで、Web オーサリングやその他のテクノロジーを使用する必要はありません。
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最新のブラウザでデータにアクセスできます。
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レコードおよびオブジェクトデータをインポートまたはエクスポートできます。
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メニューバーとステータスツールバーを非表示にしてロックすることによってカスタム Web アプリケーションを展開できます。
Web テクノロジー上に構築された FileMaker WebDirect では最新の Web ブラウザでカスタム App にアクセスして FileMaker Pro のほとんどの機能を活用できます。
FileMaker WebDirect は次の用途に最適です:
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Web ブラウザを主な対象とした FileMaker カスタム App を展開する場合。
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チームや組織のメンバー以外のリモートユーザを含めるために既存のカスタム App を拡張する場合。
特定のユーザグループが必要なレイアウトだけを追加または変更することができます。たとえば、注文管理カスタム App の注文を処理する倉庫担当者に対して、ブラウザで表示できる請求書レイアウトを追加することができます。
既存のカスタム App を Web ユーザ用に拡張する場合、最高のユーザエクスペリエンスを提供できるようにカスタム App を変更する必要があります。FileMaker Pro を使用してカスタム App を変更する必要がありますが、PHP、HTML、CSS、または JavaScript コードを記述する必要はありません。
FileMaker WebDirect のしくみ
FileMaker WebDirect は Web ブラウザで実行され、次の標準 Web テクノロジーを使用します:
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HTML5: ページの構造を定義します。
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CSS3: ページの外観を制御します。
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JavaScript: インタラクションを可能にします (ボタンのクリックなど)。
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HTTP/HTTPS および WebSocket プロトコル: Web ブラウザと Web サーバー間の通信を行うプロトコルとして機能します。
HTML5 と CSS3 の実装は Web ブラウザの種類ごとに異なります。FileMaker WebDirect カスタム App の動作は、これらの標準に対する Web ブラウザの準拠レベル、ブラウザの JavaScript エンジンの動作、およびブラウザによる CSS の解析および表示方法によって異なる場合があります。
FileMaker WebDirect のアーキテクチャ
FileMaker WebDirect のアーキテクチャは、Web ブラウザと FileMaker カスタム App という 2 つの異なる環境を繋ぎます。FileMaker WebDirect は、FileMaker Server または FileMaker Cloud 上で共有されたカスタム App を操作するクライアントとして Web ブラウザ内で実行します。
FileMaker Server および FileMaker Cloud は次のコンポーネントで構成されています:
- データベースサーバー: すべての FileMaker クライアント (FileMaker Pro、Claris FileMaker Go®、および FileMaker WebDirect) と共有するカスタム App を提供します。データベースサーバーは、レイアウト、データ、スクリプト、スクリプトトリガ、ユーザアカウント認証、レコードのロック、およびすべての FileMaker クライアントとの通信を処理します。
- Web 公開エンジン: カスタム App によって定義されたレイアウト、インタラクション、およびデータを Web ブラウザ用の HTML5、CSS3、JavaScript、およびデータに変換し、ユーザインタラクションを処理します。Web 公開エンジン (WPE) は、Web ブラウザで機能するユーザインターフェースをレイアウトからリアルタイムで作成し、スクリプト、スクリプトトリガ、ユーザのクリック、およびキー操作を処理します。FileMaker Server の複数のマシンの展開では WPE によってプライマリマシンとセカンダリマシンの間の通信が管理されます。
- Web サーバー: カスタム App を Web アプリケーションとして提供するために HTTP/HTTPS および WebSocket プロトコルを使用して Web ブラウザと通信します。
FileMaker WebDirect の基本的な設計の原則
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レイアウトには Web の標準のベストプラクティスを反映させることが推奨されます。
レイアウト上のオブジェクト、スタイル、イメージ、およびインタラクションはすべて、データベースサーバーから Web ブラウザにデータとして送信されます。したがって、レイアウトに含める要素については慎重に検討してください。ネットワークの接続によってはブラウザでの表示や処理速度が遅くなるため、多数のインタラクティブオブジェクトやサイズが大きく解像度の高いイメージを Web アプリケーションに含むことはあまりありません。
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Web に適用される制限は FileMaker WebDirect にも適用されます。
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FileMaker Server 展開または FileMaker Cloud 展開は FileMaker WebDirect クライアントの処理の大部分を行います。たとえば、FileMaker Pro によって処理されるキー操作およびマウスクリックは、FileMaker WebDirect から FileMaker Server または FileMaker Cloud に送信されます。また、カスタム App の共有は、レコードのロックの設定、スクリプトトリガのアクティブ化、データの取得、およびレイアウトとデータキャッシュの管理も行います。
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HTML5 のオブジェクトは真の親子階層に従うため、子オブジェクトは常に 1 つの親オブジェクト内に含まれます。たとえば、レイアウトでヘッダとボディの境界を超えるイメージは 1 つの部分にしか含めることができないため、 2 つの部分にまたがったイメージは境界でクロッピングされます。
「ステップ 2: FileMaker WebDirect 機能の理解」および「デザインに関する考慮事項」を参照してください。
インターネットまたはイントラネットでの接続
FileMaker Cloud はインターネット上でデータベースを共有できます。FileMaker Server はインターネットとイントラネットの両方でデータベースを共有できます。
また、次の点にも注意してください:
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データベースを公開する場合には、TCP/IP を使用して常時インターネットまたはイントラネットに接続しているコンピュータを使用します。
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ホストコンピュータは、静的な固有の専用インターネットプロトコル (IP) アドレスまたはドメイン名を使用する必要があります。
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Web ユーザが FileMaker WebDirect カスタム App に接続している間は、遅延が 150 ミリ秒以下の接続性が安定した 1 つのイーサネット、Wi-Fi、またはモバイル (4 G または LTE) ネットワーク接続を使用してください。不安定な信号またはネットワーク間での切り替えなどによるネットワーク接続の中断は、FileMaker WebDirect クライアントがサーバーから接続解除される原因になります。
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SSL (Secure Sockets Layer) 暗号化を使用して FileMaker WebDirect と FileMaker Server または FileMaker Cloud との通信を保護します。
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FileMaker WebDirect を使用するには、Cookie および JavaScript を有効にしてポップアップウインドウを許可する必要があります。
重要: Web ブラウザが HTTPS および HSTS を使用して FileMaker Server 展開に接続すると、ブラウザではその展開のホスト名からのすべての HTTP リクエストが拒否されます。そのホスト名からの HTTP リクエストを受け入れるには Web ブラウザの履歴、キャッシュ、および HSTS キャッシュを消去します。
FileMaker WebDirect カスタム App のデザイン
ステップ 1: FileMaker WebDirect カスタム App の計画
Web ユーザの数
接続する Web ユーザの数は、接続されたすべての Web ブラウザのパフォーマンスに直接影響します。必要な数のユーザがサポートされない場合は、FileMaker Server 展開または FileMaker Cloud 展開のハードウェア構成を診断する必要がある可能性があります。
FileMaker Server で推奨されるハードウェア構成については、FileMaker ナレッジベースを参照してください。
カスタム App にアクセスするデバイス
ハードウェアとネットワークのパフォーマンス、画面サイズ、および解像度はデバイスごとに異なります。カスタム App にアクセスするデバイスを特定できる場合、各デバイスの機能に合わせてレイアウトを設計できます。
処理能力が限られたデバイスでは、高度なハードウェア構成の場合と比べて、レイアウトの表示および FileMaker Server や FileMaker Cloud との通信が遅くなる場合があります。
プラグイン
サードパーティ製のプラグインを FileMaker WebDirect カスタム App で使用する場合は、WPE で有効なプラグインだけを使用してください。(一般的に、FileMaker Pro 専用に設計されているプラグインには、WPE との互換性はありません。) FileMaker Server ヘルプおよび FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。
ステップ 2: FileMaker WebDirect 機能の理解
FileMaker WebDirect は FileMaker Pro に似ていますが、FileMaker Pro クライアントのすべての機能が使用できるわけではありません。
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Web ユーザはレイアウトおよび異なるレイアウト表示形式を選択することができますが、フィールド、レイアウト、スクリプト、リレーションシップ、値一覧、およびその他のデータベーススキーマを追加、削除、または変更することはできません。
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FileMaker WebDirect は表形式をサポートしません。表示を表形式に変更するスクリプトステップやスクリプトステップオプションはサポートされません。レイアウトのデフォルト表示が表形式の場合、レイアウトは別の形式で表示されます。その他の表示が有効でない場合、レイアウトはリスト形式で表示されます。
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FileMaker WebDirect では、最前面のオブジェクトが透明な場合やオブジェクトグループの何もない場所をクリックした場合でも、他のレイアウトオブジェクトの背後にあるオブジェクトを選択することはできません。複数のオブジェクトを重ねて配置する代わりに次の方法を検討してください:
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タブラベルに計算値を使用する
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ボタンの前にイメージを重ねて配置する代わりにボタンにアイコンを追加する
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複数のオブジェクトをグループ化してボタン設定を適用する
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FileMaker WebDirect で使用できるテキストスタイルは制限されています。強調表示、段落テキストスタイル、およびタブ位置はサポートされません。FileMaker WebDirect では、Web ブラウザによりサポートされるリッチテキストのみがサポートされます。リッチテキストは、ボタンおよびレイアウトテキストに適用される場合にのみサポートされます。フィールドの場合、オブジェクトスタイルとして適用されるリッチテキスト形式のみが FileMaker WebDirect に表示されます。Web ユーザは、リッチテキスト形式でデータを入力することはできません。FileMaker WebDirect でフィールドを編集すると、既存のリッチテキスト形式は取り除かれます。
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FileMaker Pro のカスタムメニューは FileMaker WebDirect カスタム App ではサポートされません。
ステップ 3: パフォーマンスの最適化
FileMaker WebDirect のパフォーマンスは次の影響を受けます:
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Web ユーザのデバイスの処理能力
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カスタム App に同時にアクセスする Web ユーザの数
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Web ユーザのネットワーク接続の質
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FileMaker Server または FileMaker Cloud と Web ブラウザ間で送信されるデータの量
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Web ブラウザが FileMaker Server または FileMaker Cloud と通信する頻度。通信は次の場合に発生します:
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レコードが作成、確定、削除、または開かれたとき
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現在のレコードが変更されたとき
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レイアウトが変更されたとき
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計算式が評価されたとき
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スクリプトが実行されたとき
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スクリプトトリガがアクティブになったとき
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FileMaker WebDirect カスタム App のパフォーマンスを向上させるには:
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ポータル、パネルコントロール、計算フィールド、集計フィールド、入力値の制限オプションを設定したフィールド、データの書式設定オプションを設定したフィールド、スクリプトトリガ、リスト形式、ポップアップヘルプのレイアウト上での使用を最小限に抑えます。
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イメージのサイズを Web に最適化します。
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シンプルなテーマ (グラデーションやイメージスライスを使用しないテーマ) を選択または作成します。
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既存のテーマとスタイルを変更するのではなく、カスタムテーマとカスタムスタイルを作成します。
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各レイアウトオブジェクトのオブジェクト状態の使用を減らします。
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条件付き書式を最小限にします。
ステップ 4: モバイルブラウザ用のレイアウトの設計
Web ユーザは、画面サイズと解像度が異なるさまざまなモバイルデバイスで FileMaker WebDirect カスタム App にアクセスします。モバイルブラウザで最適なエクスペリエンスを提供するには、カスタム App の対象となるデバイスを識別して各デバイスに合わせてカスタム App を設計する必要があります。
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デバイス製品群の最小のデバイスサイズ用に各レイアウトを設計して Web ブラウザの高さと幅に基づいてレイアウトオブジェクトを調整する自動サイズ変更オプションを設定します。
- 一部のモバイルブラウザでは、レイアウトがモバイルデバイスの可視領域より大きい場合にレイアウトの下端に近いオブジェクトが表示されない場合があります。
- iOS デバイスおよび iPadOS デバイスで画面上のイメージを拡大するためにズームインすると、ステータスツールバーと一部のレイアウト要素にアクセスできない場合があります。
- Android デバイスではレイアウト要素のサイズは常時固定されています。ズームイン/アウトすることはできません。
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OnLayoutSizeChange スクリプトトリガを使用して、ブラウザの寸法が特定の高さまたは幅よりも大きいまたは小さい場合 (モバイルブラウザが方向を切り替えたときなど) にレイアウトを変更します。
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FileMaker WebDirect は、モバイルブラウザからのスナップショットリンクの保存、レコードのインポートおよびエクスポート、オブジェクトフィールド内容のエクスポートをサポートしません。
ステップ 5: メニューバーとステータスツールバーの非表示
タスクを実行するために独自のインターフェースを表示する場合は、ファイルを開くときにメニューバーおよびステータスツールバーを非表示にすることができます。
FileMaker WebDirect コントロールを非表示にするには、デフォルトでメニューバーとステータスツールバーを非表示にするように FileMaker Pro の [ファイルオプション] ダイアログボックスで設定することができます。FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
マルチファイルカスタム App の場合は、各ファイルで FileMaker WebDirect コントロールを非表示にする必要があります。
ステップ 6: Web ユーザのタスクの設定
データの入力や変更に加えて、Web ユーザはカスタム App でその他のタスクを実行する必要がある場合があります。
ソート順序の指定
FileMaker WebDirect の [レコードのソート] ダイアログボックスには、現在のレイアウト上のフィールドのみが表示されます。[レコードのソート] スクリプトステップで指定されている場合はレイアウト上に存在しないフィールドでソートすることもできます。Web ユーザがソートできるフィールドを制御するには、次の方法を使用します:
- メニューバーとステータスツールバーを非表示にして、データをソートするスクリプトボタンを作成します。
- [セキュリティの管理] ダイアログボックスを使用して、フィールドへのアクセスを制限します。
グラフィック、サウンド、およびムービーの操作
オブジェクトフィールドには、ピクチャ、サウンド、ムービー、およびファイルを保存および表示できます。オブジェクトデータは、カスタム App 自身の内部に埋め込むか外部に保存することができます。
メモ: FileMaker WebDirect は、参照によってリンクされたオブジェクトデータをサポートしません。参照されたオブジェクトデータは静的アイコンとして表示され、エクスポートすることはできません。
オブジェクトフィールドは、静的コンテンツまたはインタラクティブコンテンツ用に最適化できます:
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デフォルトでは、オブジェクトフィールドは静的コンテンツに最適化されています。Web ユーザは PDF ファイルを開くことや、ビデオおよびオーディオファイルを再生することはできません。Web ユーザには、静的なグラフィックまたはオブジェクトフィールドのオブジェクトへのリンクを表示できます。
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インタラクティブコンテンツに最適化されたオブジェクトフィールドを使用すると、Web ユーザはメディアファイルの再生や、PDF ファイルの操作ができます。オブジェクトフィールドをインタラクティブオブジェクトとして最適化するには、FileMaker Pro インスペクタの [インタラクティブコンテンツ] オプションを選択します。
メモ: モバイルブラウザでは、オブジェクトフィールドにファイルをドラッグしてデータを挿入することはできません。[ピクチャを挿入]、[ファイルを挿入]、[オーディオ/ビデオを挿入]、または [PDF を挿入] スクリプトステップを使用するスクリプトの作成を検討してください。
Web ブラウザによるメディアファイルのサポートには一貫性がない上、ブラウザのバージョンはオペレーティングシステムによって異なる場合があります。一部のブラウザでは、特定のメディアファイルが正しく挿入、表示、または再生されない場合があります。
仮想ウインドウの操作
Web ユーザは、1 つの Web ブラウザウインドウ内で複数の仮想ウインドウを使用してカスタム App をさまざまなレイアウト、表示形式、およびモードで表示できます。ブラウザウインドウで一度に表示できるのは 1 つの仮想ウインドウだけですが、非アクティブな仮想ウインドウは表示されていないときでも開いたままになります。
スクリプトステップを使用して、仮想ウインドウを開く、閉じる、および操作することができます。FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
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ウインドウに影響するスクリプトステップの動作は FileMaker WebDirect と FileMaker Pro で異なります。Web ブラウザは 1 つのドキュメントインターフェースを使用するため、FileMaker WebDirect カスタム App が [新規ウインドウ] スクリプトステップを使用する場合、新しいウインドウは同じブラウザウインドウ内で現在のウインドウの前に表示されます。多くの場合、ポップオーバーやスライドコントロールを使用すると、複数のウインドウよりも優れたユーザエクスペリエンスを提供できます。
- FileMaker WebDirect はドキュメントウインドウスタイルおよびカードウインドウスタイルをサポートします。FileMaker WebDirect のウインドウスタイルの詳細については、FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
- [新規ウインドウ] スクリプトステップを使用して新しい仮想ウインドウを開く場合、仮想ウインドウを移動および閉じるスクリプトボタンを提供します。
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使用していない仮想ウインドウを [ウインドウを閉じる] スクリプトステップで閉じます。
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FileMaker データソースから外部スクリプトを実行し、元のウインドウに戻るスクリプトを設計する場合、元のスクリプトで [ウインドウを選択 [現在のウインドウ]] スクリプトステップを [スクリプト実行] スクリプトステップの直後に追加します。
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[アプリケーションを終了] スクリプトステップを使用する場合、または [ウインドウを閉じる] スクリプトステップで最後の仮想ウインドウを閉じる場合、スクリプトによってユーザのセッションが終了し、FileMaker WebDirect 起動センターに戻ります。カスタム App が FileMaker Cloud で共有されている場合、FileMaker WebDirect セッションが終了すると同じブラウザの Claris Customer Console ホームページに転送されます。
データのインポートとエクスポート
Web ユーザがカスタム App と別のアプリケーション間でデータを共有する必要がある場合があります。FileMaker WebDirect では、Web ユーザは次のファイル形式をインポートおよびエクスポートできます:
ファイル形式 | インポート | エクスポート |
---|---|---|
FileMaker Pro (FMP12) | 〇 | |
タブ区切り値 | 〇 | 〇 |
コンマ区切り値 | 〇 | 〇 |
DBF | 〇 | 〇 |
Merge | 〇 | 〇 |
Excel | 〇 | |
HTML テーブル | 〇 |
メモ
- [レコードのインポート] スクリプトステップではカスタム区切り値がサポートされています。
- エクスポートまたは保存されたファイルは Web ブラウザのデフォルトのダウンロード場所にダウンロードされます。
- FileMaker Pro ファイルからインポートするには、Web ユーザにファイル内のアカウントへのアクセス権が必要です。
- モバイルブラウザではデータのインポートおよびエクスポートはサポートされません。
- FileMaker WebDirect の [フィールドデータのエクスポート順] ダイアログボックスには、現在のレイアウト上のフィールドのみが表示されます。[レコードのエクスポート] スクリプトステップで指定されている場合はレイアウト上に存在しないフィールドからデータをエクスポートすることもできます。
- テキストベースのフォーマットでファイルをインポートするには、 UTF-8 文字エンコードを使用する必要があります。他の文字エンコードのファイルをインポートするには、[レコードのインポート] スクリプトステップを使用します。
レコードの印刷
Web ユーザは現在の対象レコードおよびスクリプトでのレポートを印刷できます。[印刷] スクリプトステップでは、Web ブラウザの新しいタブに PDF が作成されます。それから、ユーザは Web ブラウザのコントロールを使用して PDF を印刷できます。
メモ
- 印刷とページ引数を設定するには [印刷設定] スクリプトステップを使用します。
- PDF にフォントが正しく表示されない場合は、必要なすべてのフォントが FileMaker Server 展開内のプライマリマシンおよびセカンダリマシンにインストールされていることを確認してください。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
ステップ 7: ファイルを閉じる操作の有効化
Web ユーザがメニューバーを開いて [ファイルを閉じる] をクリックしてセッションを適切に終了することが重要です。
-
ファイルを閉じる前にブラウザウインドウを閉じた場合、またはブラウザを終了した場合、セッションが開いたままになり次のような問題を起こす可能性があります:
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接続制限に達した場合に他のユーザがカスタム App を開くことができなくなる
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カスタム App がスクリプトトリガに割り当てられたスクリプトを実行できなくなる
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指定されたタイムアウトになるまでスクリプトの実行が継続して予期しない結果になる可能性がある
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指定されたタイムアウトになるまではデータがハッカーによる攻撃を受けやすい
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Safari の非アクティブなブラウザタブで FileMaker WebDirect セッションをアイドル状態のままにしておくと、タイムアウトする前にセッションが応答しなくなる場合があります。
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ファイルを閉じる前にデバイスをロックまたは電源をオフにすると、セッションが応答しなくなる場合があります。
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ファイルを閉じる前にブラウザを閉じると、未確定の変更は取り消されます。
このような問題を最小限に抑えるには、短いセッションタイムアウト時間を設定するか、安全にファイルを閉じるスクリプトボタンを作成します。「仮想ウインドウの操作」を参照してください。
メモ: メニューバーを非表示にしている場合は、ファイルを閉じるスクリプトボタンを作成します。「メニューバーとステータスツールバーの非表示」を参照してください。
ステップ 8: カスタム App の関数、スクリプト、およびスクリプトトリガのレビュー
一部の関数、スクリプト、およびスクリプトトリガは FileMaker WebDirect でサポートされていない場合や、FileMaker Pro での動作と異なる場合があります。カスタム App のすべての計算式およびスクリプトをレビューして正しく実行されることを確認してください。
各関数、スクリプトステップ、スクリプトトリガの詳細については、FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
関数
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クライアントのタイプに基づく条件付き動作を作成するには、Get (システムプラットフォーム) 関数を使用します。関数が 4 を返した場合、現在のユーザは FileMaker WebDirect でカスタム App にアクセスしています。
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Get (システムバージョン) 関数を使用すると、カスタム App を実行しているオペレーティングシステムおよび Web ブラウザを検出できます。デバイスの検出が困難な場合は、Get (ウインドウ幅) 関数および Get (ウインドウ高さ) 関数を使用してデバイスに適切なレイアウトを識別します。
スクリプト、スクリプトステップ、およびスクリプトトリガ
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FileMaker WebDirect と互換性のあるスクリプトステップのみがスクリプトに含まれることを確認し、Web ブラウザから使用する必要があるスクリプトへのアクセスのみを提供します。
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サポートされていないスクリプトステップや不明なスクリプトステップがスクリプトにあった場合、そのスクリプトステップはスキップされ、スクリプトの実行が続行します。
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FileMaker WebDirect では、スクリプトはクライアントのファイルシステムにアクセスできません。Web ユーザはインポートまたは挿入するファイルを選択する必要があります。エクスポートまたは保存されたファイルは Web ブラウザのデフォルトのダウンロード場所にダウンロードされます。
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FileMaker WebDirect では、FileMaker Pro インスペクタのフィールド入力が [ブラウズモード] または [検索モード] オプションで制限されている場合、スクリプトステップはフィールドに入ることができません。
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Web ユーザがブラウザウインドウを閉じるか、または Web ブラウザの更新ボタンをクリックした場合、FileMaker WebDirect はサインアウト、または OnWindowClose および OnLastWindowClose スクリプトトリガをアクティブにすることなく現在のセッションを離れます。Web ユーザが更新ボタンをクリックすると、FileMaker WebDirect は OnFirstWindowOpen および OnWindowOpen スクリプトトリガをアクティブにして FileMaker Server または FileMaker Cloud への新しい接続を作成します。
ステップ 9: 外部データソースの設定
Web ユーザによるデータ入力に加え、FileMaker WebDirect カスタム App は外部 ODBC および FileMaker データソースにアクセスすることができます。
ODBC データソースの設定
FileMaker WebDirect で ODBC データソースを使用した認証をサポートするには、FileMaker Pro を使用してデータソースのユーザ名とパスワードをカスタム App に格納する必要があります。FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
カスタム App が ODBC データソースシングルサインオン (SSO) を使用するように構成されている場合、ODBC データソースにアクセスする際に認証情報の入力が要求されます。
ODBC データソースの詳細については、FileMaker Server ヘルプおよび FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。
外部 FileMaker データソースの設定
FileMaker WebDirect で外部 FileMaker データソースにアクセスするには、参照するすべてのデータベースファイルは同じ FileMaker Server 展開または FileMaker Cloud 展開で FileMaker WebDirect カスタム App として共有されている必要があります。
FileMaker WebDirect で外部 FileMaker データソースの認証をサポートするには、アカウント名とパスワードが同じで FileMaker WebDirect 拡張アクセス権が有効なアクセス権セットを FileMaker WebDirect カスタム App および外部データソースで使用する必要があります。
FileMaker WebDirect カスタム App に保存されている Web ユーザのアカウント名とパスワードが外部データソースのアカウント情報に一致しない場合、FileMaker WebDirect カスタム App が外部データソースにアクセスするときに外部データソースにサインインする必要があります。
外部 FileMaker データソースの詳細については、FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
FileMaker WebDirect カスタム App の公開
FileMaker WebDirect カスタム App の共有
FileMaker Pro カスタム App を FileMaker WebDirect カスタム App として Web 上に公開するには、FileMaker Pro を使用して Web ブラウザからカスタム App にアクセスできるユーザアカウントを決定した後、データベースを FileMaker Server または FileMaker Cloud にアップロードします。
カスタム App にアクセスできるユーザの選択
Web ユーザが FileMaker WebDirect カスタム App を開くには、各ファイルを構成して 1 つ以上のアクセス権セットにアクセスを許可する必要があります。
-
カスタム App を FileMaker Pro で開きます。
-
[ファイル] メニュー > [共有設定] > [FileMaker WebDirect の構成...] を選択します。
-
Web 上で公開するファイルを選択します。
-
FileMaker WebDirect を使用してファイルを開くことができるユーザを選択します。
[FileMaker WebDirect 設定] ダイアログボックスでファイルへのアクセスを割り当てると、関連するユーザのアクセス権セットの拡張アクセス権設定が変更されます。拡張アクセス権の設定は、[セキュリティの管理] ダイアログボックスで直接確認および変更することができます。FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
メモ
- ユーザがサインインしているときに [ファイルへの FileMaker WebDirect アクセス] 設定に変更を加えても、ユーザの接続は切断されません。ユーザはサインアウトするかセッションがタイムアウトするまで、カスタム App の使用を継続できます。
- Claris Customer Console ホームページ上にカスタム App を表示する場合、fmwebdirect 拡張アクセス権が有効になっている必要があります。「Claris Customer Console でカスタム App を開く方法」を参照してください。
-
公開する各カスタム App に対して、手順 3 と 4 を繰り返します。
ヒント: カスタム App に複数のファイルが含まれている場合に一部のファイル名のみが表示されるようにするには、[ホストのファイル一覧に表示しない] を選択します。
-
[OK] をクリックします。
-
カスタム App を閉じます。
Admin Console での FileMaker WebDirect 設定
FileMaker WebDirect の設定を変更するには、カスタム App を共有する FileMaker Server 展開または FileMaker Cloud 展開へのネットワークアクセスが可能なマシン上で Admin Console を実行します。FileMaker Server ヘルプおよび FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。
FileMaker WebDirect カスタム App を開く方法
Web ユーザは FileMaker WebDirect 起動センター、Claris Customer Console、HTML ページ、またはカスタムホームページで FileMaker WebDirect カスタム App にアクセスします。
FileMaker WebDirect 起動センターでカスタム App を開く方法
FileMaker WebDirect 起動センターには、共有されている FileMaker WebDirect カスタム App のファイルアイコンおよびファイル名が表示されます。
FileMaker WebDirect 起動センターでカスタム App が表示されないようにするには、「カスタム App にアクセスできるユーザの選択」を参照してください。
-
Web ブラウザを開き、次のアドレスを入力します:
http://<ホスト>/fmi/webd
<ホスト>
は FileMaker Server 展開または FileMaker Cloud 展開の IP アドレスまたはドメイン名です。 -
カスタム App のファイル名をクリックしてカスタム App を開きます。
メモ
- Web ユーザは IP アドレスではなく FileMaker Server ホストのドメイン名またはサブドメイン名を入力できる場合もあります (
http://yourcompany.com/fmi/webd
やhttp://accounts.yourcompany.com/fmi/webd
など)。IP アドレスへのドメイン名のマッピングの詳細については、インターネットサービスプロバイダまたはネットワーク管理者に確認してください。 - SSL 証明書をインポートすると、SSL が自動的に有効になります。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
- SSL が有効になっている場合、
<ホスト>
は IP アドレスではなく完全修飾ドメイン名にする必要があります。 - SSL 暗号化による接続でカスタム App を開くには、ホストの完全修飾ドメイン名の前に「
https://
」を使用します。FileMaker Server ヘルプ、および FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。 - http プロトコルを使用してカスタム App を開こうとすると、ブラウザに Web サイトが安全ではないという警告が表示される場合があります。
- FileMaker Cloud で共有されているファイルの場合、ユーザは
https://<ホスト>/fmi/webd
により Claris Customer Console ホームページにリダイレクトされます。 - FileMaker WebDirect は SSO を使用したカスタム App へのサインインをサポートしていません。
Claris Customer Console でカスタム App を開く方法
Claris Customer Console は Claris ID アカウント、グループ、ホスト、設定、およびサブスクリプションを管理するための Web ベースのアプリケーションです。Claris ID ユーザは Claris Customer Console を使用して FileMaker Cloud で共有されている FileMaker WebDirect カスタム App を開くことができます。ユーザがホームページで確認できるカスタム App を決定する条件は次のとおりです:
- ユーザのアカウントがカスタム App へのアクセスを (FileMaker Pro で定義されたアクセス権のとおり) 許可されているかどうか
- Claris Customer Console が fmwebdirect 拡張アクセス権を割り当てられたカスタム App を表示するように設定されているかどうか
- カスタム App をホストのファイル一覧に表示しないように FileMaker Pro で設定されているかどうか
Claris Customer Console ヘルプおよび FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
カスタム App を開くには:
- Claris Customer Console のサインインページを開きます。
-
Claris ID アカウントまたはチームの外部アイデンティティプロバイダを使用してサインインします。
一度サインインすれば、すべてのカスタム App を操作できます。
- ホームページでカスタム App をクリックして [FileMaker WebDirect で開く] を選択します。
メモ
- FileMaker WebDirect は SSO を使用したカスタム App へのサインインをサポートしていません。
HTML ページからデータベースへのリンク
Web ユーザが IP アドレスまたはドメイン名を入力してカスタム App にアクセスする代わりに、カスタム App へのリンクを提供することができます。
表示する対象 | 使用するリンク |
---|---|
特定のデータベース | http://<ホスト>/fmi/webd/<データベース名> |
特定のデータベースおよびスクリプトの実行 | http://<ホスト>/fmi/webd/<データベース名>[?script=<スクリプト名>[¶m=<スクリプト引数>][&<$変数名>=<値>]] |
-
SSL 暗号化による接続でデータベースまたは FileMaker WebDirect 起動センターにリンクするには、ホストの完全修飾ドメイン名の前に「
https://
」を使用します。FileMaker Server ヘルプおよび FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。 -
カスタム App を頻繁に閉じる場合、または Web ユーザが多くのカスタム App にアクセスする場合は、FileMaker WebDirect 起動センターにリンクすることを検討してください。FileMaker WebDirect 起動センターでは、開かれていて FileMaker WebDirect で共有されているすべてのデータベースのリンクが動的に作成されます。
-
データベース名、スクリプト名、スクリプト引数、変数名、または変数値にスペースやその他の特殊文字が含まれる場合は、有効な URL に必要な対応するエンコードされた値と置き換えてください。たとえば、スペースは「%20」に置き換えます。
-
Web ユーザが URL からスクリプトを実行できるようにするには、アカウントのアクセス権セットで fmurlscript 拡張アクセス権を有効にします。
-
FileMaker WebDirect コンテンツが個別の Web ページの
<iframe>
タグ内に表示されるようにするには、該当する Web ページが同じ FileMaker Server の Web サーバーで共有されている必要があります。他の Web サーバーで共有されている Web ページでは<iframe>
タグで FileMaker WebDirect コンテンツを埋め込むことはできません。 -
ファイルが FileMaker Cloud で共有されていて、ユーザがすでに Claris ID アカウントでサインインしている場合、そのファイルは FileMaker WebDirect で開きます。そうでない場合、ユーザは Claris ID のサインインページにリダイレクトされます。
HTTP POST でのサインイン
ユーザは FileMaker WebDirect 起動センターまたはカスタムホームページを使用する代わりに HTTP POST リクエストで FileMaker WebDirect カスタム App にサインインできます。
特定のアカウント名とパスワードを使用してカスタム App を開くには、開くデータベースにリンクして (「HTML ページからデータベースへのリンク」を参照してください) 2 つの HTTP POST 引数 (user
および pwd
) を含めます。user
の値を使用するアカウント名に設定し、pwd
の値をアカウントのパスワードに設定します。
重要: HTTP POST リクエストでサインインする場合は SSL を使用してください。SSL を使用しないと、指定したアカウント名とパスワードが暗号化されなくなり安全性が低下します。
メモ: ファイルが FileMaker Cloud で共有されている場合、HTTP POST でのサインインはサポートされません。
カスタムホームページの使用
FileMaker WebDirect カスタム App のカスタムホームページは、FileMaker WebDirect に使用されている同じ Web サーバー上、または外部 Web サイト上のいずれかでホストできます。
FileMaker WebDirect で使用されている同じ Web サーバーでカスタムホームページをホストするには:
Web サーバーのルートフォルダに HTML ファイルを配置します。Web ユーザを同じ Web サイトの別のページにリダイレクトするような独自のホームページを作成、またはディスクイメージにある「fmwebd_home.html」ファイルをカスタムホームページのベースとして使用することができます。ファイルに変更を加える前に元のファイルをコピーしておいてください。
デフォルトの Web サーバーのルートフォルダの場所は次のとおりです。このフォルダは、Web サーバーが実行されている FileMaker Server 展開内のマシン上にあります。
-
Windows: HTTP または HTTPS での IIS:
[ドライブ]:¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥HTTPServer¥conf
[ドライブ]
は、展開した FileMaker Server の Web 公開エンジンコンポーネントが格納されているドライブです。 -
macOS: HTTP での Apache:
/ライブラリ/FileMaker Server/HTTPServer/htdocs
-
macOS: HTTPS での Apache:
/ライブラリ/FileMaker Server/HTTPServer/htdocs/httpsRoot
-
Linux: HTTP での Apache:
/opt/FileMaker/FileMaker\ Server/HTTPServer/htdocs
-
Linux: HTTPS での Apache:
/opt/FileMaker/FileMaker\ Server/HTTPServer/htdocs/httpsRoot
メモ: Web サーバーのルートフォルダでカスタムホームページをホストする方法は FileMaker Cloud ではサポートされていません。
カスタムホームページにアクセスするには:
次の URL 構文を使用します:
<スキーム>://<IP アドレスまたはドメイン名>/<ファイル名>
たとえば、カスタムホームページが「xyz_home.html」で、Web 公開エンジンのドメイン名が「example.com」の場合は次の URL をユーザに指示します:
https://example.com/xyz_home.html
Web ユーザがサインアウトしたときにカスタムホームページに戻るようにするには FileMaker WebDirect カスタム App のそれぞれの URL に homeurl
引数を追加します。例:
https://example.com/fmi/webd/Contacts?homeurl=https://example.com/xyz_home.html
homeurl
をカスタマイズしたホームページの URL またはその他の URL に設定することもできます。
メモ: FileMaker Server 19.4.1 以降では、カスタムホームページのリダイレクトはデフォルトで無効になりました。リダイレクト設定は [インストールフォルダ]/Web Publishing/conf
の「jwpc_prefs.xml」ファイルで homeurlenabled
および customhomeurl
という 2 つの新しい引数を使用して構成されます。homeurlenabled
引数を yes
に設定すると設定を有効にできます。customhomeurl
引数は承認されたリダイレクト IP アドレスまたはドメインのコンマ区切りの一覧に設定できます。例:
<parameter name="homeurlenabled">yes</parameter>
<parameter name="customhomeurl">https://primary.example.com,https://secondary.example.com</parameter>
メモ
[インストールフォルダ]/Web Publishing/conf
にある「fwpc_prefs.xml」ファイルを編集する場合、テキストエディタを使用してください。- サーバー管理者がカスタム SSL 証明書をインポートした場合、データベースサーバー接続では SSL が使用されます。カスタムホームページおよびカスタム Web コンテンツが WPE HTTPS ディレクトリで共有されていることを確認してください。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
- カスタムホームページのリダイレクトへの変更を有効にするには FileMaker Server を再起動する必要があります。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
デザインに関する考慮事項
FileMaker Pro カスタム App は、Web 上では一部の動作が異なります。カスタム App を設計する際は次の情報を考慮してください。
一般
- FileMaker WebDirect はジェスチャまたはアニメーションをサポートしません。
- Web ユーザが接続しているときにカスタム App を編集すると、予期しない結果が発生する場合があります。たとえば、Web ユーザがリスト形式で表示しているレイアウトに変更を加えて保存した場合、各 Web ユーザの現在のレコードは対象レコードの最初のレコードに変更されます。
- すべての対象オペレーティングシステムにインストールされているフォントを使用してください。Web ブラウザで使用できないフォントがある場合、使用できないフォントは既定のフォントで置き換えられます。
- オブジェクトおよびグループ化されたオブジェクトは複数のレイアウトパートにまたがらないようにしてください。オブジェクトまたはオブジェクトグループが複数のパートにまたがる場合、アンカーされているレイアウトパート内にのみ表示されます。
- ユーザがポータルのフィールドに入力してもユーザがフィールドから離れるまでポータルのレコードは更新されません。
- 現在のレコードをリスト形式で識別するには、レイアウトボディパートにオブジェクト状態スタイル [アクティブ] を適用します。現在のレコードを示すインジケータはリスト形式ではサポートされません。
- 強調表示、上付き文字、および下付き文字の条件付き書式オプションはサポートされません。下線、単語下線、および二重下線はすべて通常の下線としてレンダリングされます。
- 次のレイアウトオブジェクトではポップアップヘルプはサポートされません: テキスト、イメージ、入力を許可しないフィールド、マージフィールド、マージ変数、ポータル、グラフ、インタラクションを許可しない Web ビューア。
- FileMaker WebDirect は、システム環境設定に従ってスクロールバーを表示します。FileMaker WebDirect は、[ポータル設定] ダイアログボックスの [スクロールバーを表示] オプションをサポートしません。
- FileMaker WebDirect が Web ブラウザの言語を検出できない場合、または Web ブラウザの言語をサポートしていない場合、そのインターフェース、ポップアップヘルプ、およびダイアログボックスは英語で表示されます。
接続の最大数
FileMaker Server および FileMaker Cloud の各展開には接続の最大数があります。接続の最大数に達した場合、それ以上の Web ユーザがカスタム App を開こうとすると、Web ブラウザにエラーメッセージが表示されます。
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FileMaker Server または FileMaker Cloud が実際には接続の最大数に達していないと思われる場合は、カスタム App から適切にサインアウトしていない Web ユーザがいる可能性があります。セッションがタイムアウトするまで待つか、またはファイルを閉じてカスタム App からすべてのユーザを接続解除することができます。または Admin Console を使用して特定のユーザを接続解除することもできます。FileMaker Server ヘルプおよび FileMaker Cloud ヘルプを参照してください。
- 複数のブラウザウインドウ、または同じブラウザウインドウの複数のタブから同じカスタム App を開くことは避けてください。各ブラウザウインドウまたはタブは FileMaker Server または FileMaker Cloud への 1 つの接続を使用するため、接続の制限にすぐに達する場合があります。「仮想ウインドウの操作」を参照してください。
モバイルブラウザ
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モバイルブラウザはポータルで垂直スクロールバーを常時表示するオプションをサポートしません。
- モバイルブラウザはポップアップヘルプをサポートしません。
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モバイルブラウザではフィールドをクリックするときにのみオンスクリーンキーボードが表示されます。
- オブジェクトフィールド内の PDF ファイルは非インタラクティブです。iOS デバイスおよび iPadOS デバイスではオブジェクトフィールドには PDF の最初のページのみが表示されます。Android デバイスではオブジェクトフィールド内のリンクをクリックすると PDF が新しい Web ブラウザウインドウに表示されます。オブジェクトフィールドで PDF をインタラクティブに操作するには Windows または macOS でカスタム App を開きます。
- iOS デバイスおよび iPadOS デバイスでは [デスクトップ用 Web サイトを表示] のブラウザ設定を無効にする必要があります。
フィールド
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フィールドがデータの表示にシステム書式を使用する場合、FileMaker WebDirect では、カスタム App が作成された場所のデフォルトのシステム書式が使用されます。デフォルトのシステム書式は、フィールドの日付、時刻、タイムスタンプ書式、マージフィールド、および入力値の制限メッセージに影響します。
-
フィールドでは、オートコンプリート (先行入力)、縦書きテキスト、FileMaker Pro で設定した入力方法、および行間の機能はサポートされません。
- FileMaker WebDirect がアクセスできるのは同じサーバー上で共有されているファイルのフィールドのみです。
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フィールドの枠と塗りつぶしはすべてのレコード上に表示されます。[レイアウト設定] ダイアログボックスの [現在のレコードのみフィールドに枠を表示する] オプションはサポートされません。
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カスタム App を FileMaker WebDirect で開いたときにデータがテキストフィールドに表示されないことがあるため、テキストフィールドには前後にスペースを入れないようにユーザに説明します。追加のスペースが必要な場合は、テキストフィールドが追加のスペースを表示できる大きさであることを確認するか、テキストフィールドにスクロールバーを追加します。
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マスク付き編集ボックスでは、常にフィールド内の実際の文字と同じ数のマスク文字が表示されますが、改行はマスク文字として表示されません。
- チェックボックスセットおよびラジオボタンセットは標準の HTML コントロールとして表示されます。オブジェクトスタイルはサポートされません。一部が表示されない場合は FileMaker Pro レイアウトでフィールドを拡大表示してください。
- ポップアップメニューおよびドロップダウンリストでは、Web ユーザは [編集...] 項目を使用して値一覧の値を編集すること、および [その他...] 項目を使用して値一覧に値を追加することはできません。
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Web ユーザが各オブジェクトフィールドに挿入できる 1 つのファイルの最大サイズは 300 MB です。300 MB 以上のファイルを挿入するには FileMaker Pro を使用します。
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インタラクティブオブジェクトフィールドで Web ユーザが操作できるファイルの最大サイズは 300 MB です。ファイルが 300 MB より大きい場合、Web ユーザはオブジェクトフィールドの内容をエクスポートして操作する必要があります。300 MB 以上のファイルをインタラクティブオブジェクトフィールド内で操作するには FileMaker Pro を使用します。
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Web ユーザがオブジェクトフィールドからデータをエクスポートできるようにするには、[アクセス権セットの編集] ダイアログボックスで、[利用できるメニューコマンド:] を [すべて] に設定します。
パネルコントロール
- パネルコントロールでは、カスタムスタイルの数を最小限に留めます。カスタムスタイルをパネルコントロールに適用すると、同一のレイアウトで異なるスタイルを使用する他のコントロールにもこのカスタムスタイルが表示される場合があります。
- タブコントロールのタブラベルに配置されたオブジェクトはパネル領域にレンダリングされます。
- カスタム App でスライドパネルをデザインする場合、[スライドコントロール設定] ダイアログボックスの [ナビゲーションドットを表示] を選択して、Web ユーザがスライドコントロールのドットでスライドパネル間を移動できるようにします。スライドコントロールは Web ブラウザでパネル間のスワイプをサポートしません。代替方法として、スライドパネル間の移動を制御するスクリプトを定義できます。
ポップオーバー
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ポップオーバーのサイズはウインドウのサイズが変更されても変更されないため、Web ブラウザのウインドウサイズを考慮してポップオーバーを設計してください。開いているポップオーバーよりもブラウザウインドウのサイズを小さくした場合、または現在のウインドウよりも大きいポップオーバーを開いた場合、予期しない結果が発生する場合があります。
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リスト形式でスクロールすると、ユーザが別のレコードに移動するまでポップオーバーは閉じません。
ボタンバー
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リスト形式の場合、ボタンバーは対象レコードの各レコードで有効セグメントが異なることがあります。
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ボタンバーのサイズを変更すると、ボタンバーにデフォルトの有効セグメントが表示されます。
Web ビューア
FileMaker WebDirect では、iframe を使用して Web ビューアページを表示します。そのため、iframe のすべての制約および制限が Web ビューアページに適用されます。これらの制限により、FileMaker WebDirect でアクセスされる Web ビューア内で、特定の Web サイトが空白で表示される場合があります。この問題の主な 2 つの原因をトラブルシューティングするには:
- 対象の URL で親ページと同じプロトコル (http や https など) が使用されていることを確認します。たとえば、FileMaker WebDirect ページへのアクセスに https が使用されている場合、Web ビューアページの URL も先頭が https になっている必要があります (逆の場合も同様です)。
- Web ビューアで、コンテンツを他の Web サイトに埋め込むことができる Web サイトが示されるようにします。たとえば、Web サイトの X-Frame-Options ヘッダに X-Frame-Options: SAMEORIGIN が含まれている場合、サイトのコンテンツは、同じドメインで共有されている別の Web サイトの iframe でのみ使用できます。
- [Web ビューアの設定] ダイアログボックスで [Web ビューア内容とのインタラクションを許可] チェックボックスの選択を解除している場合でも、Web ユーザは限定的に Web ビューアとのインタラクションが可能な場合があります。また Web ビューアがボタンとして定義されている場合でも限定的なインタラクションが発生する場合があります。
- Web ビューアによって計算される URL はコロン (:) を含みませんが、FileMaker WebDirect によって URL の先頭にスキーム「http://」が自動的に付けられます。エラーを防ぐため、Web ビューアを設定する際は適切なスキームを Web アドレスに含めてください。
- [Web ビューアの設定] スクリプトステップの [戻る] および [進む] オプションは FileMaker WebDirect ではサポートされていません。FileMaker WebDirect で Web ビューア内を前後に移動するには、Web ビューア内で右クリック (Windows) または control を押しながらクリック (macOS) し、[戻る] または [進む] を選択します。レイアウトに Web ビューアが 2 つ以上ある場合、最後にあるページから別のページに変更された Web ビューアにのみショートカットメニューを使用できます。これは必ずしも現在マウスカーソルを置いている Web ビューアとは限りません。
- FileMaker WebDirect は、その内容が FileMaker WebDirect によって公開されている Web ビューアをサポートしません。Web ビューアの URL に「
/fmi/webd
」が含まれる場合、Web ページは Web ビューアで表示されません。 - FileMaker WebDirect では、Web ビューアの内容が予想外の結果をもたらす場合があります。たとえば、URL (フィールドデータから計算された URL、またはユーザが Web ビューア内のリンクをクリックして設定する URL) は、属性が
target=top
のページを指定できます。この属性は、FileMaker WebDirect を Web ブラウザウインドウで置き換えます。 - オペレーティングシステムのベンダーが継続してセキュリティ上の問題を修正するため、ユーザの Web ブラウザ内のセキュリティ設定が変更されるとともに特定の機能が無効になる場合があります。これらの変更により、FileMaker WebDirect で Web ビューアの動作が無効または変更される場合があります。Web ビューアが正しく機能するようにブラウザのセキュリティ設定を変更する方法をユーザに知らせるか、Web ビューアで使用する URL は信頼できる Web ページのみに限定するようにしてください。
境界とパディング
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整数でない太さのオブジェクト境界は近似の整数に切り下げられます。0 ポイントよりも大きく 1 ポイントよりも小さい太さは 1 ポイントに設定されます。
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レイアウトパートまたはレイアウト背景に境界を適用する場合、境界線上にオブジェクトを配置しないでください。境界線に重なったオブジェクトのパートは Web ブラウザにレンダリングされません。
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イメージスライス塗りつぶしをレイアウトパートまたはレイアウト背景に適用する場合、レイアウトパートまたはレイアウト背景を区切るイメージセグメントの近くにレイアウトオブジェクトを配置しないでください。レイアウトオブジェクトが予期しない形でレンダリングされる場合があります。
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オブジェクトの境界から一定の距離でオブジェクトの内容を表示するには、オブジェクトのパディングを変更します。FileMaker WebDirect はインデントをサポートしません。
非表示条件
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オブジェクトグループ内の 1 つのオブジェクトを非表示にするには、オブジェクトグループ全体に非表示条件を適用します。オブジェクトグループ全体が非表示である場合を除き、オブジェクトグループ内の非表示オブジェクトの背後にあるオブジェクトはクリックできません。
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オブジェクトにボタン設定および非表示条件を適用する場合、非表示条件を最後に適用してください。オブジェクトが非表示の場合、ボタン設定のあるオブジェクトの背後にあるオブジェクトはクリックできません。
タブ順
- タブ順は FileMaker Pro のタブ順と異なる場合があります。どの Web ブラウザでも同様な操作がサポートされるわけではないことに注意してください。
- Web ブラウザでのタブ順には、編集ボックス、マスク付き編集ボックス、ドロップダウンリスト、ポップアップメニュー、ドロップダウンカレンダー、チェックボックスセット、ラジオボタンセット、およびオブジェクトフィールドが含まれます。
- 検索モードでは計算フィールドはタブ順に含まれません。
- iPadOS: iPad Pro で Smart Keyboard を使用している場合はタブ順が意図したとおりに動作しない場合があります。たとえば、レイアウトのタブ順に含まれないフィールドにタブで移動できる場合があります。
マルチファイルカスタム App
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FileMaker WebDirect カスタム App の各ファイルに同じアカウントおよびパスワードを作成します。ユーザが最初のファイルのアカウントおよびパスワードを入力すると、その情報は関連付けられたファイルの認証に使用されます。すべてのカスタム App ファイルのすべてのアクセス権セットで fmwebdirect 拡張アクセス権が有効になっている必要があります。
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Web ブラウザでは Web ユーザがそのファイルへのアクセスを許可されていない限り、レイアウト上に別のファイルのフィールドを表示することはできません。この制限は他のファイルからのフィールド値を基に計算を行う計算フィールドについても同様です。
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アクセスが認証されていない保護された関連ファイルへの参照がカスタム App に含まれている場合、Web ユーザは、FileMaker WebDirect で保護されたファイルへのアクセスを認証できません。このため、Web ユーザがカスタム App を開いても、ファイルには保護されたファイルからのデータは含まれません。この問題を回避するには、FileMaker Pro を使用して保護されているファイルを参照するすべてのファイルを認証する必要があります。FileMaker Pro ヘルプを参照してください。
複数のマシンの展開
- FileMaker Server 展開で Web 公開エンジン間の FileMaker WebDirect 接続がリダイレクトされる場合は、URL バーに表示されるホスト名がリダイレクト先の WPE のホスト名に一致するように変更されます。Web ビューアなどの特定の WPE のホスト名を参照する機能では予期しない結果が返される場合があります。
- 展開内のマシンで WPE が無効になっている場合にユーザがそのマシンの URL を使用して FileMaker WebDirect にアクセスしても、使用可能な WPE にリダイレクトされず FileMaker WebDirect にアクセスできません。
- セカンダリマシンで WPE が有効になっている場合、プライマリマシンで FileMaker WebDirect が無効になっている場合でもセカンダリマシンから FileMaker WebDirect カスタム App を使用できます。
- カスタム App に対してカスタムホームページを使用するか、またはカスタム Web コンテンツを共有する場合は、すべてのカスタムコンテンツが FileMaker Server 展開のすべての WPE で共有されていることを確認します。共有されていない場合、一部の WPE でカスタムコンテンツにアクセスできない場合やカスタムコンテンツを表示できない場合があります。
- FileMaker WebDirect コンテンツを個別の Web ページの
<iframe>
タグで表示すると予期しない結果になる可能性があります。 - 複数のマシンの展開内の FileMaker WebDirect でプラグインを使用するには、プライマリマシンおよびすべてのセカンダリマシンでプラグインをインストールします。