FileMaker Server 18 インストールおよび構成ガイド
はじめに
FileMaker Server について
FileMaker Server® は FileMaker Pro Advanced を使用して作成されたデータベースを共有する専用のデータベースサーバーで、FileMaker Pro Advanced、FileMaker Go®、および FileMaker WebDirect™ のクライアントに加え、FileMaker Server Web 公開エンジンおよび FileMaker Data API エンジンがサポートする他のクライアントアプリケーションを使用してデータを共有および変更することができます。
インストールする前に、マシンが必要条件を満たしていることを確認します。FileMaker Server のシステム必要条件を参照してください。
Admin Console の必要条件
FileMaker Server Admin Console は Web ベースのアプリケーションで、FileMaker Server の構成および管理に使用します。FileMaker Server Admin Console は、FileMaker Server およびサポートされる Web ブラウザへのネットワークアクセスのあるマシンで使用できます。
サポートされるクライアントアプリケーション
FileMaker Server は、次のクライアントアプリケーションをサポートしています:
- FileMaker Pro Advanced バージョン 16、17、18、および FileMaker Pro 16
- FileMaker Go 16、17、および 18
- FileMaker クライアントドライバを使用する ODBC (Open Database Connectivity) および JDBC (Java Database Connectivity) クライアントアプリケーション。FileMaker ODBC ドライバおよび FileMaker JDBC ドライバは、インストールディスクイメージ内の「xDBC」フォルダ、および FileMaker ダウンロードページから利用できます。『FileMaker ODBC と JDBC ガイド』および FileMaker Pro Advanced ヘルプを参照してください。
- FileMaker WebDirect、カスタム Web 公開 with PHP、およびカスタム Web 公開 with XML を使用する FileMaker Server Web 公開エンジンを使用してデータにアクセスする Web ユーザ
- FileMaker Data API を使用してデータにアクセスする Web サービスやアプリケーション
ユーザがクライアントソフトウェアの最新の更新を適用していることを確認してください。
サポートされるクライアントおよびライセンスの必要条件の詳細については、FileMaker Server のシステム必要条件を参照してください。
ライセンス証明書について
FileMaker Server では、ライセンス証明書を使用してライセンスキーを設定します。ライセンス証明書を紛失しないようにご注意ください。ソフトウェアの再インストールが必要な場合に備えてライセンス証明書のコピーを安全な場所に保管してください。
購入時のソフトウェアダウンロードページへのリンクが記載された電子メールメッセージを受信している場合、ライセンス証明書についての情報はそのページで確認できます。
ライセンス証明書は、エンドユーザライセンス契約書の順守を確保します。ライセンスキーが無効、またはネットワーク上で同じライセンスキーによるソフトウェアの複数のインストールが実行されている場合、FileMaker Server ソフトウェアによって、エラーメッセージが表示されます。
FileMaker Server ライセンスキーの更新
次の場合に FileMaker Server 18 の新しいライセンス証明書を同じマシンにインポートします:
- FileMaker Server 18 の評価版からアップグレードする
- FileMaker Go、FileMaker WebDirect、および FileMaker Pro Advanced のユーザまたは接続数を追加する
- FileMaker Data API 年間制限を増やす
既存の展開の FileMaker Server ライセンスキーを変更するには、次の操作を行います:
- 新しいライセンス証明書を購入時のソフトウェアダウンロードページからダウンロードします。
- Admin Console を開いて [管理] > [FileMaker ライセンス] タブをクリックします。「Admin Console の開始」を参照してください。
- [ライセンス証明書のインポート] をクリックします。
- [参照...] をクリックして新しいライセンス証明書を選択し、所属 (組織名) を入力します。
この後の作業を開始するにあたって
- 1 台のマシンにインストールするには、「クイックスタートインストール (1 台のマシンの展開)」を参照してください。
- 複数のマシンの展開を使用してインストールするには、「複数のマシンでの FileMaker Server の展開」を参照してください。
- FileMaker Server の既存のインストールから移動するには、「既存のインストールのアップグレードと移動」を参照してください。
クイックスタートインストール (1 台のマシンの展開)
FileMaker Server をインストールする前に
このセクションでは、1 台のマシンに FileMaker Server をインストールする方法を説明します。2 台以上のマシンにインストールするには、「複数のマシンでの FileMaker Server の展開」を参照してください。
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FileMaker Server の展開には Web サーバーが必要となります。Web サーバーは Web 公開クライアントに応答し、Web ベースの Admin Console アプリケーションをホストし、また一部のデータ転送タスクを処理します。FileMaker Server では、Web 接続用にポート 80、セキュア Web 接続用にポート 443 が利用可能になっている必要があります。FileMaker Server は Web 公開が無効になっていてもこれらのポートを使用します。FileMaker Server インストーラが既存の Web サイトによってこれらのポートが使用されていることを検出した場合、それらの Web サイトを無効にしてポートを利用可能にする必要があります。
- Windows: FileMaker Server インストーラは IIS Web サーバーが有効になっていない場合は有効にしてから ARR (Microsoft Application Request Routing) インストーラを実行し、Web サイトを IIS 内に作成して Web サイトが Web 接続に指定したポートを使用するように構成します。
- macOS: macOS に含まれる Web サーバーを有効にする必要はありません。有効になっている場合は、既存の Web サイトがポート 80 または 443 を使用していないことを確認します。インストーラは独立した Web サーバーインスタンスを作成し、FileMaker Server がこれらのポートを使用するように有効にします。
「Web サーバーの設定」を参照してください。
-
サーバーコンピュータのファイアウォールで必要なポートを開いて FileMaker Server が管理者およびクライアントと通信できるようにします:
- Web 接続ポート用のポート 80。このポートは Admin Console と Web 公開 (HTTP) に使用されます。
- セキュア Web 接続ポート用のポート 443。SSL 接続が使用される場合、このポートは Admin Console と Web 公開 (HTTPS) に使用されます。
- FileMaker クライアント用のポート 5003。
- Admin Console を使用するサーバー管理者用のポート 16000。
- マスタマシン上でポート 16002 を開いておく必要があり、ファイアウォールで開いて、ワーカーマシン上で利用可能になっている必要があります。
- ODBC および JDBC クライアント用のポート 2399。
- マシン上でポート 1895、3000、5013、5015、8989、8998、9889、9898、16001、16003、16004、16020、16021、50003、および 50004 が利用可能になっている必要があります。ファイアウォールで開く必要はありません。
「FileMaker Server が使用するポート」を参照してください。
- 旧バージョンの FileMaker Server をアップグレードする方法については、「既存のインストールのアップグレードと移動」を参照してください。
- ライセンス証明書を確認します。「ライセンス証明書について」を参照してください。
- 同じマシン上ですでに FileMaker Pro または FileMaker Pro Advanced を実行している場合は FileMaker Server をインストールする前に終了する必要があります。FileMaker Server マシン上では、FileMaker Pro または FileMaker Pro Advanced の使用はテスト目的のみにしてください。
- サーバーのセキュリティは重要です。FileMaker Server ヘルプの「データの保護」、および FileMaker セキュリティガイドの情報を参照してください。
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マシンにウイルス対策ソフトウェアをインストールしてある場合は、FileMaker Server インストーラを実行する前に、ソフトウェアを無効にするかまたはアンインストールする必要があります。インストーラが終了するまでウイルス対策ソフトウェアを有効にしないでください。
共有データベースを含むフォルダやデータを外部に保存するオブジェクトフィールドのファイルを含むフォルダは、ウイルス対策ソフトウェアがスキャンしないようにしてください。
- 2 つの異なるバージョンの FileMaker Server を同じコンピュータで同時に実行することはできません。
- DHCP サーバーの中には一定の時間で IP アドレスを割り当て直すものがあるため、静的 IP アドレスを使用してください。
- macOS: FileMaker Server の実行中に macOS Server アプリケーションを使用して HTTP サービスを有効にすることは避けてください。macOS Server によって提供される HTTP サービスは FileMaker Server と干渉する可能性があります。「macOS での Apache Web サーバーの使用」を参照してください。
パフォーマンスの考慮
最高のパフォーマンスを得るためには、データベースサーバーとして使用するための専用マシンで FileMaker Server を実行します。多数のクライアントや多数のデータベースを共有する場合、FileMaker Server は、プロセッサ、ディスク、およびネットワークの容量を大量に使用します。同じコンピュータでプロセッサへの負荷が高い他のソフトウェアが実行されていた場合、またはネットワークトラフィックの負荷が増加した場合、FileMaker Server の実行速度が遅くなり、FileMaker クライアントのパフォーマンスも低下します。
パフォーマンスを向上させるには、次の操作を行います:
- ユーザのメインのワークステーションであるマシン上に FileMaker Server をインストールすることは避けます。
- FileMaker Server が動作しているマシンを電子メール、印刷、またはネットワークファイルサーバーとして使用することは避けます。
- FileMaker Server によって共有されているデータベースをバックアップするのに、システムまたはサードパーティのバックアップソフトウェアを使用しないでください。代わりに、データベースのバックアップをスケジュールするには Admin Console を使用します。「データベースのバックアップ」を参照してください。
- サーバーでは、スクリーンセーバーとスリープ状態 (休止状態またはスタンバイ) モードを無効にします。これらの機能は、パフォーマンスを低下させるか、共有データベースへのアクセスを中断します。
- 共有データベースには、高速なハードディスク、複数ディスクの RAID システム、または信頼できるストレージエリアネットワーク (SAN) を使用してください。
- オペレーティングシステムのインデックスサービスまたはサードパーティのファイル索引ソフトウェアをオフにします。これらの機能はパフォーマンスを低下させます。
「FileMaker Server 展開の最適化」を参照してください。
FileMaker Server の 1 台のマシンへのインストール
電子ダウンロードの説明に従ってインストールディスクイメージとライセンス証明書ファイルをダウンロードします。ライセンス証明書を次のいずれかの場所に配置します:
デフォルトのダウンロードフォルダ
Windows: [ドライブ]:¥Users¥[ユーザ]¥Downloads
macOS: /Users/[ユーザ]/Downloads
- インストーラフォルダ (インストーラがあるフォルダ)
「LicenseFile」フォルダ
Windows: [ドライブ]:¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥CStore¥LicenseFile ([ドライブ] は FileMaker Server がインストールされているドライブ)
macOS: /Library/FileMaker Server/CStore/LicenseFile (FileMaker Server がインストールされているマシン)
- Windows: Bonjour for Windows がインストールされている場合は、このアプリケーションが実行中であることを確認してから FileMaker Server インストーラを実行します。
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インストーラのアイコンをダブルクリックします。
- Windows: ユーザアカウント制御の警告が表示されたら、[はい] をクリックします。
- macOS: セキュリティメッセージが表示されたら、[続ける] をクリックします。
- Windows: 言語を選択します。
- インストールを続行するには、[次へ] (Windows) または [続ける] (macOS) をクリックします。
- 表示される大切な情報を読みます。まだ完了していない作業がある場合は、インストーラを終了して作業を完了させてください。
- エンドユーザライセンス契約書を読んで同意します。
-
インストール先を選択します。
メモ:Windows では、デフォルト以外の場所を指定することができます。「インストールの注意」を参照してください。
-
[FileMaker Server マスタ] を選択します。
-
FileMaker Server ユーザアカウント (FileMaker Server を実行するアカウント) のオプションを選択します:
- デフォルトのアカウントを使用するには、[ローカルシステム] (Windows) または [fmserver] (macOS) を選択します。
- このマシンに既存のアカウントを使用するには、[ユーザ名] を選択して、アカウントのユーザ名とパスワードを入力します。必要な権限 (ネットワーク接続ストレージへのアクセス権など) を設定したアカウントが既にある場合は、このオプションの使用をお勧めします。
指定した既存のユーザアカウントが FileMaker Server の実行に十分な権限を持たない場合、インストーラはエラーメッセージを表示します。「インストールの注意」を参照してください。
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Admin Console にサーバー管理者としてログインする場合に常に使用するユーザ名とパスワードを割り当てます。サーバー管理者は、FileMaker Server のインストールおよび設定と、FileMaker Server で共有される FileMaker Pro Advanced データベースを管理します。
メモ:ユーザ名は大文字と小文字が区別されません。パスワードは大文字と小文字が区別されます。
コマンドラインインターフェース (CLI) を使用したパスワードのリセットに使用する PIN の値を入力します。
重要:PIN の値はインストール時にしか設定できません。PIN の値を変更するには、FileMaker Server を再インストールする必要があります。
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[インストール] をクリックします。
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Windows:
Microsoft Visual C++ 2017 再頒布可能パッケージ (x64) および Microsoft Application Request Routing (ARR) for IIS 拡張機能がインストールされていない場合、それらは FileMaker Server インストーラによってインストールされます。
Bonjour for Windows がインストールされていない場合、FileMaker Server によるインストールの許可を求められます。
「インストールの注意」を参照してください。
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macOS:
macOS のユーザ名とパスワードを入力して [ソフトウェアをインストール] をクリックします。
Bonjour が実行中でない場合は実行するようにメッセージが表示されます。「インストールの注意」を参照してください。
FileMaker Server はインストールを開始します。この処理には数分かかることがあります。
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ソフトウェアが正常にインストールされたら、Admin Console を開きます。
- Windows: インストーラの最後のステップで、[FileMaker Server Admin Console を起動] を有効にしてから、[完了] をクリックします。
- macOS: [起動] をクリックします。
必要に応じて「マスタでのインストールの後、Admin Console が開始しない」を参照してください。
ここで終了して Admin Console を後で開くこともできます。Admin Console を後で開くには、次の操作を行います:
- Web ブラウザで“
http://127.0.0.1:16001/admin-console
”と入力します。 -
デスクトップのショートカットを使用します。デスクトップのショートカットを使用して Admin Console を起動するには、次の操作を行います:
- Windows: デスクトップ上の [FMS Admin Console] ショートカットをダブルクリックします。
- [スタート] メニューのあるバージョンの Windows: [スタート] メニュー > [すべてのアプリケーション] または [すべてのプログラム] > [FileMaker Server] > [FMS Admin Console] をクリックします。
- [スタート] 画面のあるバージョンの Windows: [スタート] 画面に移動して [FMS Admin Console] をクリックします。
- macOS: デスクトップ上の [FMS Admin Console] ショートカットをダブルクリックします。
- Admin Console のサインインページで、インストーラで指定した Admin Console のアカウントのユーザ名とパスワードを入力して [サインイン] をクリックします。
-
Admin Console の [セキュリティ設定] ページで、SSL 証明書をインポートするかどうかを決定します。
データセキュリティは重要であるため、初めて Admin Console を開く際に、FileMaker Server は SSL 証明書をインポートするように要求します。
- インポートするカスタム SSL 証明書がある場合は説明に従って SSL 証明書をインポートします。
- インポートするカスタム SSL 証明書がない場合は Admin Console を閉じて信頼できる CA にカスタム SSL 証明書を要求するか、または SSL 証明書をインポートせずに続行します。(後でカスタム SSL 証明書をインポートするには、Admin Console を開いて [構成] > [SSL 証明書] タブをクリックします。)
-
[ダッシュボード] ページで、サーバーの IP アドレスをメモして記録します。
ヒント: 必要に応じて、Admin Console を別のコンピュータから起動できるように IP アドレスをメモします:
https://[ホスト]/admin-console
[
ホスト
] はサーバーの IP アドレスです。 -
FileMaker WebDirect、FileMaker Data API、ODBC および JDBC などのテクノロジーで共有データベースにアクセスできるようにするには、Admin Console の対応するタブで設定を有効にします。
有効にする対象 確認する Admin Console のタブ FileMaker WebDirect [コネクタ] > [Web 公開] タブ FileMaker Data API [コネクタ] > [FileMaker Data API] タブ ODBC および JDBC [コネクタ] > [ODBC/JDBC] タブ FileMaker Server ヘルプを参照してください。
次のステップ
- Admin Console の起動:「Admin Console の開始」を参照してください。
- インストールのテスト:「展開のテスト」を参照してください。
- FileMaker Server の管理:「FileMaker Server の管理」を参照してください。
- データベースのアップロード:「データベースのアップロード」を参照してください。
- サポートの利用:「カスタマサポートとナレッジベース」を参照してください。
複数のマシンでの FileMaker Server の展開
複数のマシンの使用について
多くの環境では、1 台のマシンの展開で FileMaker WebDirect ソリューションを共有するのに十分なパフォーマンスが提供されます。ただし、100 台近くの FileMaker WebDirect クライアントによって頻繁にサーバーが使用される場合は、複数のマシンの展開で FileMaker WebDirect ワーカーマシンを展開して、さらに多くのクライアントが FileMaker WebDirect ソリューションにアクセスできるようにする、またはサーバーコンポーネントのセキュリティを強化することができます。
FileMaker WebDirect ソリューションを共有していない場合は、複数のマシンの展開によるパフォーマンスの向上はできません。ただし、複数のマシンの展開を使用すると、データベースサーバーに存在する機密データをファイアウォールの背後に配置して、ファイアウォールの前に配置したワーカーマシンにクライアントをアクセスさせることができます。
マスタマシンのコンポーネント
次の図は、FileMaker Server の主なコンポーネントを示します。
FileMaker Server を 1 台のマシンで展開する場合、次のコンポーネントが 1 台のマシンにインストールされ、その 1 台のマシンがマスタマシンになります。
複数のマシンの展開ではデータベースサーバーを実行するマシンがマスタマシンと呼ばれます。
- Web サーバー: Windows では、FileMaker Server には Windows の IIS (インターネットインフォメーションサービス) が必要です。これは FileMaker Server をインストールした際に有効になります。macOS では、FileMaker Server は Apache Web サーバーの独自のインスタンスを使用するため、macOS の一部としてインストールされる Apache インスタンスを有効にする必要はありません。
- Web 公開エンジン: FileMaker Server で共有されたデータベースのカスタム Web 公開のサービスおよび FileMaker WebDirect サービスを提供します。
- PHP エンジン: カスタム Web 公開 with PHP では、FileMaker Server には Web サーバーから応答して PHP コードを処理する PHP エンジンが必要です。FileMaker Server には、PHP エンジンと FileMaker API for PHP があります。PHP コードが FileMaker API for PHP を呼び出す場合、その呼び出しが解釈されて Web 公開エンジンに送信されます。
- データベースサーバー: FileMaker Pro Advanced および FileMaker Go ユーザと共有し、Web で公開するデータベースを共有します。
- Admin Console: FileMaker Server を構成して管理するクライアントコンピュータの Web ブラウザで実行します。
ワーカーマシンのコンポーネント
複数のマシンで展開する場合、2 つのコンポーネント (Web サーバーと Web 公開エンジン) のみを含む FileMaker WebDirect ワーカーマシンを展開します。
ワーカーマシンに Admin Console はありません。マスタはワーカーと通信して、すべてのコンピュータの設定を構成し、すべてのコンポーネントのステータスとアクティビティを監視します。
カスタム Web 公開サービスと PHP エンジンはマスタマシン上にあります。ただし、ワーカーマシンはルーティングサービスを提供するため、ユーザからのカスタム Web 公開の要求を処理することができます。カスタム Web 公開 with PHP を使用するソリューションを共有する際に最適な結果を得るには、マスタマシン上とすべてのワーカーマシン上で、すべての PHP Web ページファイルを適切な FileMaker 共有フォルダ (htdocs) 内に配置します。
重要:データベースソリューションのセキュリティを強化するために、特にインターネット上で利用する場合は、FileMaker Server 展開でファイアウォールを使用してください。また、Web サーバーには SSL を使用します。FileMaker セキュリティガイドを参照してください。
展開オプション
まず 1 台のマシンに展開してから、より多くの FileMaker WebDirect クライアントに対応できるようにワーカーマシンを追加することができます。
1 台のマシンの展開
FileMaker Server の 1 台のマシンへの展開には 2 つの方法があります。データベースサーバーのみ、またはデータベースサーバーと Web 公開エンジンです。1 台のマシンでの FileMaker Server のインストールの詳細については、「クイックスタートインストール (1 台のマシンの展開)」を参照してください。
データベースサーバーのみ
1 台のマシンに FileMaker Server をインストールする場合、Web 公開はデフォルトで無効になっています。Web 公開が無効の場合、FileMaker Pro Advanced、FileMaker Go、FileMaker Data API、ODBC および JDBC クライアントに公開できますが、FileMaker WebDirect およびカスタム Web 公開クライアントには公開できません。
利点: Web 公開が必要ない場合に設定および管理するのに最も簡単な展開です。
メモ:Web 公開が無効の場合でも、FileMaker Server では Web ベースの Admin Console をホストして一部のデータ転送タスクを取り扱うために Web サーバーが必要となります。
データベースサーバーと Web 公開エンジン
FileMaker Server を 1 台のマシンにインストールして Web 公開を有効にする場合、Web 公開エンジンは FileMaker WebDirect およびカスタム Web 公開クライアントのサポートを提供します。
利点: Web 公開の最も簡単な展開で多くの FileMaker Server ユーザが使用する展開です。この構成は小さな展開 (FileMaker Pro Advanced と FileMaker Go クライアントを合わせて最大 50) および制限された Web 公開に適しています。
複数のマシンの展開
マスタマシンで FileMaker Server を展開した後、必要に応じて FileMaker WebDirect ワーカーマシンをさらに展開することができます。
利点: 通常の状況下では、1 台のマシンの展開で対応できる FileMaker WebDirect クライアントは最大 100 です。各ワーカーマシンでは、さらに 100 ずつの FileMaker WebDirect クライアントに対応できます。
マスタマシンをファイアウォールの背後に配置して、ワーカーマシンをファイアウォールの前に配置することで、展開のセキュリティを強化することもできます。ワーカーマシンが FileMaker Data API 要求やカスタム Web 公開要求を受信した場合は、ワーカーマシンを経由してマスタマシンに転送されます。FileMaker WebDirect 要求は、インストールされているワーカーマシンの数に基づいてリダイレクトされます。
ヒント:FileMaker WebDirect クライアントに適切に対応するには、FileMaker WebDirect ソリューションの設計を考慮してください。「データベースパフォーマンスの考慮」を参照してください。
複数のマシンへの展開
マスタマシンに FileMaker Server ソフトウェアをインストールしてから、ワーカーマシンにインストールします。次に、ワーカーマシン上で展開アシスタントを使用して SSL 証明書を構成し、マスタマシンに接続します。
重要: マスタマシンおよびワーカーマシン上には、同じバージョンの FileMaker Server をインストールしてください。
複数のマシンにインストールする前に
- 「FileMaker Server をインストールする前に」を参照してください。
- マスタマシンまたはワーカーマシンの既存の Web サイトがポート 80 または 443 を使用していないことを確認してください。これらのポートは、両方のマシンの FileMaker Server で使用されます。FileMaker Server インストーラが既存の Web サイトによってこれらのポートが使用されていることを検出した場合、それらの Web サイトを無効にしてポートを利用可能にする必要があります。
- すでに 1 台のマシンで展開した FileMaker Server 18 を使用している場合は、既存の展開にワーカーマシンを追加することができます。ワーカーマシンを追加するには、そのワーカーに FileMaker Server をインストールします (「ワーカーマシン上のインストール」を参照してください)。続いてワーカーマシンの展開アシスタントでマスタマシンとなる既存のサーバーに接続します。
FileMaker Server が使用するポート
ファイアウォールを使用している環境で FileMaker Server を実行する場合は、各マシン上のファイアウォールを FileMaker Server の通信を許可するように構成してください。すべてのポートの一覧については、FileMaker ナレッジベースを参照してください。
メモ:一覧されているポートのすべてがエンドユーザに対して、または FileMaker Server 展開内で「使用者」列に示されているすべてのマシンまたはエンドユーザ間で開かれている必要はありません。「使用可能」とマークされているポートは「使用者」列に示されるマシンでローカルに使用されます。これらのポートは、他の目的に使用できませんが、ファイアウォールで開く必要はありません。
FileMaker Server はポート 10050 を有効にして Zabbix によるパッシブチェックを可能にし、ポート 10051 を有効にして Zabbix のアクティブチェックをサポートします。「Zabbix によるパフォーマンスの監視」を参照してください。
次の図は、FileMaker クライアントと Admin Console が FileMaker Server と通信するために、ファイアウォールで開く必要のあるポートを示しています。
マスタマシン上のインストール
マスタマシン上で FileMaker Server をインストールしてからワーカーマシン上でインストールします。マスタマシン上でのインストールの手順は 1 台のマシンの場合と同じです。「FileMaker Server の 1 台のマシンへのインストール」を参照してください。
ワーカーマシン上のインストール
マスタマシン上で FileMaker Server をインストールしたら、ワーカーマシン上で FileMaker Server をインストールします。FileMaker Server は最大 5 台のワーカーマシンに展開できます。次のプロセスでマスタマシンに 1 台のワーカーマシンを追加します。展開に追加する各ワーカーマシンについて同じプロセスを実行します。
メモ:マシンをワーカーとして設定した後にマスタに変更する場合は FileMaker Server をアンインストールしてから再インストールしてください。
- 電子ダウンロードの説明に従ってインストールディスクイメージをダウンロードします。
- Windows: Bonjour for Windows がインストールされている場合は、このアプリケーションが実行中であることを確認してから FileMaker Server インストーラを実行します。
-
インストーラのアイコンをダブルクリックします。
- Windows: ユーザアカウント制御の警告が表示されたら、[はい] をクリックします。
- macOS: セキュリティメッセージが表示されたら、[続ける] をクリックします。
- Windows: 言語を選択します。
- インストールを続行するには、[次へ] (Windows) または [続ける] (macOS) をクリックします。
- 表示される大切な情報を読みます。まだ完了していない作業がある場合は、インストーラを終了して作業を完了させてください。
- エンドユーザライセンス契約書を読んで同意します。
-
インストール先を選択します。
メモ:Windows では、デフォルト以外の場所を指定することができます。「インストールの注意」を参照してください。
-
[FileMaker WebDirect ワーカー] を選択します。
-
[インストール] をクリックします。
-
Windows:
Microsoft Visual C++ 2017 再頒布可能パッケージ (x64) および Microsoft Application Request Routing (ARR) for IIS 拡張機能がインストールされていない場合、それらは FileMaker Server インストーラによってインストールされます。
Bonjour for Windows がインストールされていない場合、FileMaker Server によるインストールの許可を求められます。
「インストールの注意」を参照してください。
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macOS:
macOS のユーザ名とパスワードを入力して [ソフトウェアをインストール] をクリックします。
Bonjour が実行中でない場合は実行するようにメッセージが表示されます。「インストールの注意」を参照してください。
FileMaker Server はインストールを開始します。この処理には数分かかることがあります。
-
-
ソフトウェアが正常にインストールされたら、展開アシスタントを起動します。
- Windows: インストーラの最後のステップで、[展開アシスタントを開始する] を有効にしてから、[完了] をクリックします。
- macOS: [起動] をクリックします。
必要に応じて「ワーカーでのインストールの後、展開アシスタントが開始しない」を参照してください。
メモ:展開アシスタントを使用するには、ブラウザで JavaScript および Cookie を有効にする必要があります。
ここで展開アシスタントを停止して後で起動することもできます。FileMaker Server を後で展開するには、次の操作を行います:
- ワーカーマシンの Web ブラウザで“
http://127.0.0.1:16003
”と入力します。 -
デスクトップのショートカットを使用します。デスクトップのショートカットを使用して展開アシスタントを開くには、次の操作を行います:
- Windows: デスクトップ上の [FileMaker WebDirect Worker Deployment Assistant] ショートカットをダブルクリックします。
- [スタート] メニューのあるバージョンの Windows: [スタート] メニュー > [すべてのアプリケーション] または [すべてのプログラム] > [FileMaker Server] > [FileMaker WebDirect Worker Deployment Assistant] をクリックします。
- [スタート] 画面のあるバージョンの Windows: [スタート] 画面に移動して [FileMaker WebDirect Worker Deployment Assistant] をクリックします。
- macOS: デスクトップ上の [FileMaker WebDirect Worker Deployment Assistant] ショートカットをダブルクリックします。
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[証明書情報] では、署名済みの SSL 証明書がインストールされていることを検証するか、[証明書のインポート...] をクリックして署名済みの SSL 証明書をインストールします。
[発行先] に「FMI Default Certificate」が示された場合は、サーバー名を検証しない FileMaker のデフォルト証明書を使用していることになります。この証明書はテスト用にのみ利用できます。実際に運用環境で使用する場合はカスタム SSL 証明書が必要です。「SSL 証明書の要求」を参照してください。
カスタム SSL 証明書がある場合は、[証明書のインポート...] をクリックしてカスタム SSL 証明書をワーカーマシンにインストールします。
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[接続設定] には次の内容を入力します:
- マスタマシンのホスト名または IP アドレス
- ワーカーマシンのホスト名または IP アドレス
- マスタマシンの Admin Console にログインするときに使用するサーバー管理者のユーザ名とパスワード
メモ
- ホスト名を使用する場合は、マシンにインストールされているカスタム SSL 証明書で指定されている完全修飾ドメイン名を入力する必要があります。
- インストーラはマスタマシンの Web 公開エンジンのリダイレクト URL をマスタマシンのホスト名に設定します。(Windows 上では、インストーラはホスト名としてコンピュータ名を使用します。) マスタマシンのホスト名が完全修飾ドメイン名ではない場合、ワーカーマシンが使用できないときに FileMaker WebDirect クライアントがマスタマシンの Web 公開エンジンに接続できないことがあります。
- マスタマシンのホスト名を変更するには、ワーカーマシンをすべて接続解除してマスタマシンから FileMaker Server をアンインストールします。次にホスト名を変更してマスタマシンに FileMaker Server を再インストールしてから新しいホスト名を使用してワーカーマシンを接続します。
- ワーカーマシンのホスト名を変更するには、マスタマシンからワーカーマシンを取り除いてホスト名を変更してからマスタマシンに接続し直します。
- IP アドレスを使用してワーカーマシンをマスタマシンに接続すると、マスタマシンへのリダイレクトに IP アドレスが使用されます。完全修飾ドメイン名を使用してワーカーマシンをマスタマシンに接続すると、マスタマシンへのリダイレクトに完全修飾ドメイン名が使用されます。
- 必ず、マスタマシンで Admin Console を開いてインストールを完了してからワーカーマシンを接続してください。インストールしただけで展開が完了していないマスタマシンにはワーカーマシンを接続しないでください。
-
[マスタに追加] をクリックして、ワーカーマシンをマスタマシンに接続します。ワーカーが正しく接続されたことを示すメッセージが表示された場合、ワーカーはマスタマシンに追加されています。マスタマシンの Admin Console の [コネクタ] > [Web 公開] タブで接続を検証できます。
メモ
- FileMaker のデフォルトの証明書またはサーバーのホスト名を検証しない証明書を使用している場合は、エラーメッセージが表示されることがあります。検証されていない証明書を許可するには、[検証されていない証明書を使用して接続します] を選択して [マスタに追加] を再度クリックします。
- 接続がタイムアウトしたことを伝えるエラーを受信した場合は、ワーカーマシンからマスタマシンにネットワークアクセスできるか検証してください。
インストールの注意
- 必要なサポートソフトウェアのバージョンの詳細については、FileMaker Server のシステム必要条件を参照してください。
-
Windows: 非ブートボリュームを含むデフォルト以外の場所に FileMaker Server をインストールすることはできますが、リモートのネットワークドライブまたは外付けのリムーバブルドライブにはインストールできません。FileMaker Server を [ドライブ]:¥Users¥[ユーザ]¥Desktop などの Windows デスクトップパスにインストールすることはできません。
指定したパスでデフォルトのインストールパスの最初の部分 (¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server) が置き換えられます。たとえば、インストールフォルダに「My_Path」を指定すると、「Databases」、「Scripts」、および「Extensions」フォルダは次のようにインストールされます:
- ¥My_Path¥Data¥Databases
- ¥My_Path¥Data¥Secure
- ¥My_Path¥Data¥Scripts
- ¥My_Path¥Database Server¥Extensions
指定するパスは ASCII 文字のみで構成されている必要があります。
- macOS: FileMaker Server は、Mac OS 拡張 (ジャーナリング、大文字/小文字を区別) としてフォーマットされているターゲットボリュームにインストールしないでください。このフォーマットはサポートされていません。ボリュームは、MacOS 拡張または MacOS 拡張 (ジャーナリング) としてフォーマットしてください。
-
インストール中にデフォルト以外に FileMaker Server ユーザアカウントを指定する場合、指定したアカウントは次の条件を満たしている必要があります:
- Windows: アカウントはローカルユーザアカウントまたは Windows ドメインアカウントである必要があります。アカウントは、ローカルファイルアクセスに関して Windows システムアカウントと同一の権限を持っている必要があります。
- macOS: アカウントは macOS のローカルユーザアカウントであり、ローカルファイルへのアクセス (デーモングループのメンバーシップを含む) に関して fmserver アカウントと同一の権限を持っている必要があります。ディレクトリサービス (Active Directory または Open Directory など) に由来するアカウントは使用できません。
- リモートボリュームにデータベースまたはオブジェクトデータフォルダを追加して設定する場合、FileMaker Server ユーザアカウントに指定されたアカウントは、これらのリモートフォルダに対する完全なアクセス権を持っている必要があります。
-
Bonjour のインストール:
- Windows: Bonjour はオプションです。Bonjour がインストールされていない場合、FileMaker Pro Advanced の [ホスト] ダイアログボックスや FileMaker Go の起動センターにサーバーは表示されません。
- macOS: Bonjour がインストールされていない場合、または有効でない場合、FileMaker Server はインストールできません。
- FileMaker Server にはマスタマシンおよびワーカーマシンに 64 ビットバージョンの Java Runtime Environment が含まれます。
-
Windows: FileMaker Server がインストールされている間は次の項目をアンインストールしないでください:
- IIS URL Rewrite Module
- Microsoft Application Request Routing
- Microsoft External Cache for IIS
- Microsoft Visual C++ 2017 Redistributable Package (x64)
次のステップ
- Admin Console の起動:「Admin Console の開始」を参照してください。
- インストールのテスト:「展開のテスト」を参照してください。
- FileMaker Server の管理:「FileMaker Server の管理」を参照してください。
- データベースのアップロード:「データベースのアップロード」を参照してください。
- サポートの利用:「カスタマサポートとナレッジベース」を参照してください。
展開のテスト
テストの概要
FileMaker Server 展開をテストするには、FileMaker WebDirect または FileMaker Pro Advanced を使用して共有データベースを開きます。
FileMaker WebDirect を使用する場合
- Admin Console を開いて [コネクタ] > [Web 公開] タブをクリックします。
- Web 公開エンジンが実行中になっていることと FileMaker WebDirect が有効になっていることを確認します。
- FileMaker WebDirect で [起動センターを開く] をクリックします。
- 起動センターで「FMServer_Sample」を選択します。
「FMServer_Sample」が開いた場合、FileMaker Server の展開は正しく動作しています。
FileMaker Pro Advanced を使用する場合
- FileMaker Server がインストールされたマシンにアクセスできるネットワークに接続した任意のマシンから FileMaker Pro Advanced を開きます。
- [ホスト] ダイアログボックスでテストするサーバーを選択して「FMServer_Sample」を選択します。
FileMaker Pro Advanced で FileMaker Server で共有されているサンプルデータベースが開かれる場合、データベースサーバーが動作していて FileMaker Pro Advanced クライアントからの要求に応答しています。
メモ:FileMaker Server がインストールされているマシンではなく、別のマシン上で動作している FileMaker Pro Advanced クライアントを使用してテストしてください。
トラブルシューティング
マスタでのインストールの後、Admin Console が開始しない
FileMaker Server インストールプログラムを実行した後にマスタマシンで Admin Console が開始しない場合、最も一般的な解決方法は次のとおりです:
-
マスタマシンで次のいずれかを実行して Admin Console を開始します:
- Web ブラウザで“
http://127.0.0.1:16001/admin-console
”と入力します。 - デスクトップのショートカットを使用します。デスクトップのショートカットを使用して Admin Console を起動するには、次の操作を行います:
- Windows: デスクトップ上の [FMS Admin Console] ショートカットをダブルクリックします。
- [スタート] メニューのあるバージョンの Windows: [スタート] メニュー > [すべてのアプリケーション] または [すべてのプログラム] > [FileMaker Server] > [FMS Admin Console] をクリックします。
- [スタート] 画面のあるバージョンの Windows: [スタート] 画面に移動して [FMS Admin Console] をクリックします。
- macOS: デスクトップ上の [FMS Admin Console] ショートカットをダブルクリックします。
- Web ブラウザで“
- Windows: マスタマシンで IIS が有効になっていることを確認します。(「Windows での IIS Web サーバーの有効化」を参照してください。)IIS マネージャで「FMWebSite」というサイトが起動していることを確認します。
- Web ブラウザで URL「
http://127.0.0.1:16001/admin-console
」を開くと Web ブラウザに「ページを開けません」という内容のメッセージが表示される場合、ブラウザが localhost の URL に HSTS (HTTP Strict Transport Security) を強制している可能性があります。問題を修正するには、ブラウザの履歴を消去します。 -
管理サーバープロセスが 60 秒以内に FileMaker Server インストールプログラムに応答しない場合、次のメッセージが表示されます:
FileMaker Server Admin Console は使用できません。
このメッセージが表示された場合は、次の手順を実行します:
-
コマンドプロンプト (Windows) またはターミナルアプリケーション (macOS) に次のコマンドを入力して管理サーバープロセスを再起動します:
fmsadmin restart adminserver
- Windows では、[管理ツール] > [サービス] コントロールパネルで FileMaker Server サービスを停止してから再起動します。
- サーバーコンピュータにファイアウォールがある場合、すべての必須ポートがファイアウォールで開いていることを確認します。(「FileMaker Server をインストールする前に」を参照してください。)
- マシンの実行速度が遅い場合は、不要なアプリケーションをシャットダウンします。
- マシンを再起動します。マスタマシンで Web ブラウザを開いて“
http://127.0.0.1:16001/admin-console
”と入力します。
-
ワーカーでのインストールの後、展開アシスタントが開始しない
FileMaker Server インストールプログラムを実行した後にワーカーマシンで展開アシスタントが開始しない場合、次の操作を行います:
- ワーカーマシンで、デスクトップにある [FileMaker WebDirect Worker Deployment Assistant] ショートカットをダブルクリックして展開アシスタントを開始するか、または Web ブラウザで“
http://127.0.0.1:16003
”と入力します。
リモートマシンから Admin Console を起動できない
リモートマシンからは Admin Console が起動できない場合でマスタマシンからは起動できる場合、最も一般的な解決方法は次のとおりです:
-
正しい URL を使用していることを確認します:
http://[ホスト]/admin-console
[
ホスト
] はサーバーの IP アドレスです。「Admin Console の開始」を参照してください。
- マスタマシンでファイアウォールが有効になっている場合、FileMaker Server に必要なポートを開いてユーザおよび管理者と通信できるようにします。「FileMaker Server をインストールする前に」を参照してください。
Web ブラウザが証明書メッセージを表示する
FileMaker Server Web サーバーが共有する Web ページに HTTPS 接続を使用して移動すると、Web ブラウザが証明書エラーまたは警告メッセージを表示する場合があります。これには、Admin Console、FileMaker WebDirect ソリューション、または HTTPS 接続を使用するカスタム Web 公開ソリューションも含まれます。ご使用の FileMaker Server 展開が FileMaker Server により提供されたデフォルトの SSL 証明書を使用している場合、これは正常な動作です。
- 希望するページに進むには、Web ブラウザで続行するオプションをクリックします。
- このエラーメッセージを表示しないようにするには、「SSL 証明書の要求」を参照してください。
クライアントが FileMaker Server で共有されているデータベースを確認できない
- マスタマシン上のファイアウォールの設定が、クライアントへのデータベースの表示をブロックしていることがあります。ファイアウォールでブロック解除する必要のあるポートの詳細については、「FileMaker Server をインストールする前に」を参照してください。
- FileMaker Server 18 で共有されているファイルを開くには、サポートされているクライアントを使用します。FileMaker Server のシステム必要条件を参照してください。
- ユーザがクライアントソフトウェアの最新の更新を適用していることを確認してください。
FileMaker Server によって使用される Apache Web サーバーが応答を停止する (macOS)
macOS の他の Web サイトまたは HTTP サービスが、FileMaker Server の Web サーバーに必要なポートを使用していないことを確認します。たとえば、macOS Server アプリケーションをインストール済みで、Web サイトまたは wiki などの HTTP サービスを有効にして使用している場合、macOS にインストールされている既存の Apache インスタンスが FileMaker Server がインストールされるときに再度有効になることがあります。
FileMaker Server が使用する Apache インスタンスが正常に動作するようにするには、他の HTTP サービスが FileMaker Server が使用するポートと異なるポートを使用するように構成するか、他の HTTP サービスを無効にするか、または macOS Server アプリケーションをアンインストールする必要があります。
FileMaker Server の管理
Admin Console の概要
Admin Console は、FileMaker Server の構成と管理、共有データベースとクライアントの操作と監視、および使用状況情報の追跡を簡単に行うことができる Web ベースのアプリケーションです。
FileMaker Server を管理するには、FileMaker Server を実行しているコンピュータ上または FileMaker Server を実行しているマスタマシンへのネットワークアクセスがあるコンピュータ上で Admin Console を使用します。リモート管理を安全に行うために Admin Console は SSL (Secure Sockets Layer) テクノロジーを使用して他のコンピュータからの HTTPS 接続を暗号化します。
Admin Console では多くの FileMaker Server 管理タスクをサポートしています。次の操作を行うことができます:
- FileMaker Server アプリケーションの設定を構成する。
- FileMaker Pro Advanced データベースを開いて (共有して)、ネットワーク上のクライアントが利用できるようにする。
- 各データベースにアクセスしているクライアントの数など、共有されているファイルの情報を表示する。
- 接続しているクライアントにメッセージを送信する。
- 共有された FileMaker Pro Advanced データベースを閉じて、クライアントが利用できないようにする。
- 共有された FileMaker Pro Advanced データベースをローカルシステムにダウンロードする。
- すべての共有データベースから、選択したクライアントの接続を解除する。
- 共有データベースを一時停止または再開する。
- 共有データベースをバックアップするためのタスクスケジュールを作成する。
- システムスクリプト、FileMaker スクリプト、およびスクリプトシーケンス (システムスクリプトと FileMaker スクリプトの両方を含む) を実行するためのタスクスケジュールを作成する。
- データベースサーバーを起動または停止する。
- FileMaker WebDirect ワーカーマシンを起動、停止、または取り除く。
- Web 公開エンジンを起動または停止する。
- FileMaker Data API エンジンを起動または停止する。
- ODBC および JDBC の設定を構成する。
- FileMaker Data API の設定を構成する。
- FileMaker WebDirect の設定を構成する。
詳細については、FileMaker Server ヘルプを参照してください。
Admin Console の開始
メモ:Admin Console を使用するには、リモートコンピュータにサポートされる Web ブラウザが必要です。その他の Runtime 環境またはブラウザプラグインは必要ありません。「Admin Console の必要条件」を参照してください。
Admin Console を開始するには、次の操作を行います:
-
Web ブラウザを開いて次のように入力します:
http://[ホスト]/admin-console
[
ホスト
] は FileMaker Server をマスタとして実行しているマシンの IP アドレスまたはホスト名です。これは、FileMaker Server のインストール時に記録したアドレスです。 -
Admin Console のサインインページが表示される前に、Web ブラウザでセキュリティメッセージに応答するように求められる場合があります。これは、FileMaker Server に含まれるデフォルトの SSL 証明書に基づく正常な動作です。サインインページへの移動を続行するオプションをクリックします。
このメッセージを今後表示しないようにするには、「SSL 証明書の要求」を参照してください。
ヒント:Web ブラウザでサインインページをブックマークします。Admin Console にサインインする場合や FileMaker Server ヘルプを開く場合はこのページに戻ってください。
-
サインインページで、最初に FileMaker Server を展開した際に設定した名前とパスワードを入力します。[サインイン] をクリックします。
メモ:Web ブラウザによりユーザ名とパスワードを保存するように求めるメッセージが表示された場合、Web ブラウザへのアクセスが確実に安全である場合以外は拒否してください。
Admin Console を起動すると [ダッシュボード] ページが表示されます。
Admin Console を直接開始する他の方法は次のとおりです:
Admin Console へのアクセス元 移動先 マスタマシンへのネットワークアクセスを持つすべてのコンピュータ http://[ホスト]/admin-console (HTTPS にリダイレクト)
[
ホスト
] はサーバーの IP アドレスです。マスタマシンのみ http://127.0.0.1:16001/admin-console
FMS Admin Console ショートカットからの場合:
- Windows: デスクトップ上の [FMS Admin Console] ショートカットをダブルクリックします。
- [スタート] メニューのあるバージョンの Windows: [スタート] メニュー > [すべてのアプリケーション] または [すべてのプログラム] > [FileMaker Server] > [FMS Admin Console] をクリックします。
- [スタート] 画面のあるバージョンの Windows: [スタート] 画面に移動して [FMS Admin Console] をクリックします。
- macOS: デスクトップ上の [FMS Admin Console] ショートカットをダブルクリックします。
データベースのアップロード
FileMaker では FileMaker Server にデータベースをアップロードする 2 つの方法があります:
- FileMaker Pro Advanced では、両方のコンピュータが同じネットワーク上にある場合、[ファイル] メニュー > [共有設定] > [ホストにアップロード...] を使用して、コンピュータのファイルシステムから FileMaker Server に FileMaker Pro Advanced データベースファイルを転送します。FileMaker Pro Advanced は、外部に保存したオブジェクトフィールドのオブジェクトとともにデータベースをアップロードします。FileMaker Server は、データベースを指定したデータベースフォルダにコピーし、ファイルアクセス権を設定してアップロード後にデータベースにアクセスできるようにします。
- 手動でデータベースを FileMaker Server にアップロードします。データベースと外部に保存したオブジェクトフィールドのオブジェクトをすべて適切な場所にコピーします。macOS では、ファイルのグループ所有権を fmsadmin グループの所属に変更します。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
メモ: プラグインが必要なデータベースがある場合の、プラグインの管理については、FileMaker Server ヘルプを参照してください。
データベースの暗号化
FileMaker Pro Advanced では、データベースの内容を暗号化するためにデータベースの暗号化機能を使用できます。暗号化により、ディスクに書き込まれた FileMaker データベースおよびすべての一時ファイルが保護されます。FileMaker Pro Advanced ヘルプを参照してください。
暗号化データベースを FileMaker クライアント用に FileMaker Server で共有するには、データベースを FileMaker Server に手動でアップロードするか、または FileMaker Pro Advanced の [ホストにアップロード...] メニューコマンドを使用してファイルを転送します。
FileMaker Pro Advanced を使用して暗号化ファイルを「Secure」フォルダにアップロードする場合、FileMaker Pro Advanced では、アップロード後に FileMaker Server がファイルを自動的に開くことができるように暗号化パスワードの入力を要求します。暗号化ファイルを「Secure」フォルダ以外のフォルダにアップロード、または暗号化ファイルを手動でアップロードする場合は Admin Console または fmsadmin
CLI (コマンドラインインターフェース) を使用して暗号化ファイルをサーバー上で開く必要があります。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
ヒント:CLI の list
コマンドを使用してデータベースが暗号化されているかどうかを確認できます。
データベースのバックアップ
FileMaker Server では、次の方法でデータベースのバックアップを実行できます。
バックアップタイプ | 説明 |
---|---|
自動 | FileMaker Server は、1 日 1 回共有データベースの自動バックアップを作成します。 |
オンデマンド | [バックアップ] ページの [今すぐバックアップ] をクリックすると、いつでもオンデマンドバックアップを作成することができます。 |
スケジュール | [バックアップ] > [バックアップスケジュール] タブを使用すると、バックアップするデータベースとバックアップの頻度を定義するバックアップスケジュールを作成できます。スケジュールを実行するたびに FileMaker Server は選択されたデータベースが最後のバックアップ以降に変更されたかどうかを確認します。FileMaker Server は、変更されたデータベースの完全コピーを作成し、変更されていないバックアップされたデータベースへのハードリンクを作成します。 |
プログレッシブ | FileMaker Server は、すべての共有データベースの完全バックアップを最初に作成します。最初の完全バックアップの完了後、データベースサーバーは共有ファイルからの変更のみをプログレッシブバックアップフォルダにコピーします。プログレッシブバックアップはサーバーパフォーマンスへの影響も少なく、バックアップスケジュールより素早く実行できます。プログレッシブバックアップでは、バックアップファイルの 2 つのコピーを保存します。タイムスタンプ付きのコピーはバックアップとして使用でき、進行中のコピーは累積した変更で更新されます。 |
これらのバックアップタイプの組み合わせを使用して、共有データベースの包括的なバックアップ戦略を立てることができます。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
メモ:macOS で Time Machine を使用している場合は、Time Machine バックアップから「FileMaker Server」フォルダの項目を除外してください。Admin Console を使用してデータベースをバックアップしてください。
Windows ReFS ボリュームへのバックアップの作成
FileMaker Server は、ReFS (Windows Resilient File System) をサポートするローカルボリュームに完全バックアップを行うことができます。ただし、バックアッププロセスにはより長い時間とより大きなディスク容量が必要とされる場合があります。
メモ:リモート ReFS ボリュームを含め、リモートボリュームへのバックアップ作成はサポートされていません。ReFS ボリュームはローカルボリュームである必要があります。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
データベースをバックアップすると、FileMaker Server はバックアップボリュームが ReFS を使用しているかどうかを確認します。ファイルが ReFS ボリュームにバックアップされていない場合、FileMaker Server は前回バックアップスケジュールを実行したとき以降に選択したデータベースに変更があったかどうかを確認します。各バックアップスケジュールタスクで、FileMaker Server は変更されたデータベースの完全なコピーを作成し、変更されていないバックアップされたデータベースへのハードリンクを作成します。
ReFS はハードリンクをサポートしないため、共有データベースが最も最近のバックアップファイルと相違がない場合でも、FileMaker Server は完全バックアップを実行する必要があります。
起動復元の理解
FileMaker Server では、共有データベースに対して復元ログを作成します。クライアントアクセスでデータベースが開かれる前の起動時に FileMaker Server によりデータベースエントリが検証されます。データベースが適切に閉じられなかった場合、起動復元は復元ログを使用して最新の一貫性のある状態にファイルを復元します。
起動復元はデータベースバックアップの代用にはなりません。ただし、サーバーの停電、ハードウェアの障害、またはソフトウェアの問題が原因で発生したデータベースの整合性の問題を解決するのに役立つ可能性があります。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
デフォルトで、復元ログは次のフォルダに書き込まれます:
- Windows:
[ドライブ]:¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Data¥Restoration
- macOS:
/ライブラリ/FileMaker Server/Data/Restoration
最適な結果を得るには、FileMaker Admin API を使用して復元ログフォルダの場所を別のディスクドライブに変更します。FileMaker Admin API ガイドを参照してください。
ODBC データソースに接続されているデータベースの共有
FileMaker Server は、外部の SQL データソースに接続している FileMaker Pro Advanced データベースを共有できます。FileMaker Pro Advanced では、FileMaker データベース内のデータで作業するのとほぼ同じように、ODBC データで作業できます。たとえば、対話的に外部データを追加、変更、削除、および検索します。
FileMaker Server での ODBC と JDBC の使用、および外部 ODBC データソースへのアクセスの詳細については、FileMaker Server ヘルプを参照してください。
メモ: ODBC を使用して外部 SQL データソースにアクセスする FileMaker Pro Advanced データベースを共有するために、FileMaker Server の ODBC/JDBC データソース機能を有効にする必要はありません。
ODBC データソースシングルサインオンの有効化 (Windows)
FileMaker Server によって共有された、Microsoft SQL Server からの ODBC データにアクセスする FileMaker Pro Advanced データベースを操作する場合、マスタマシンでシングルサインオン (SSO) を有効にすることができます。ODBC データソースシングルサインオンを使用すると、FileMaker Pro Advanced クライアントはログインすることなく Windows 認証のログイン情報を使用して Microsoft SQL Server にアクセスできます。
FileMaker Server で ODBC データソースシングルサインオンを有効にするには、アクセス権が設定されているユーザアカウントを使用してログインするように FileMaker Server サービスを構成します。ユーザアカウントは [認証後にクライアントを偽装] 権限が有効になっている必要があり、アカウントはネットワークの Windows Active Directory に設定されている管理者アカウントである必要があります。
ODBC データソースシングルサインオンを有効にするには、Windows ドメイン管理者は先に次のことを行う必要があります:
- 各ユーザの Windows ユーザアカウントに対する [アカウントは委任に対して信頼されている] セキュリティ設定を設定する。
- マスタマシン上のアクセス権が設定されているユーザアカウントに対する [委任に対して信頼する] 設定および [Kerberos 認証を使用する] セキュリティ設定を設定する。
- マスタマシン上のアクセス権が設定されているユーザアカウントに対する [認証後にクライアントを偽装] 権限を有効にする。
- マスタマシン上で [Windows 認証] を使用する ODBC DSN を設定する。
- Microsoft SQL Server を [Windows 認証] を使用するように設定する。
マスタマシン上での ODBC データソースシングルサインオンの有効化
- Windows で [コントロールパネル] > [管理ツール] > [サービス] > [FileMaker Server] を開き、次に [操作] > [プロパティ] を選択します。
- [ログオン] タブでアカウントを選択します。
- マスタマシン上のアクセス権が設定されているユーザアカウントを入力し、[OK] をクリックします。
- [コントロールパネル] > [管理ツール] > [ローカルセキュリティポリシー] > [ローカルポリシー] > [ユーザ権利の割り当て] > [オペレーティングシステムの一部として機能] を開きます。
- [ローカルセキュリティの設定] タブで、[ユーザまたはグループの追加...] をクリックし、前に指定したアクセス権が設定されているユーザアカウントを入力します。
- [OK] をクリックして、FileMaker Server サービスを再起動します。
重要:FileMaker Server で共有されている FileMaker Pro Advanced データベースで ODBC データソースシングルサインオンも有効にしておく必要があります。FileMaker Pro Advanced ヘルプを参照してください。
サーバーサイドスクリプトの実行
タスクスケジュールを作成して、次を実行できます:
- Windows バッチ、Perl、VBScript、および AppleScript などのシステムレベルのスクリプト
- FileMaker Server によって共有されるデータベース内の FileMaker スクリプト
- オプションの前処理システムレベルスクリプトを指定した FileMaker スクリプトと、オプションの後処理システムレベルスクリプトを指定した FileMaker スクリプトを組み合わせたスクリプトシーケンス
FileMaker Server ヘルプを参照してください。
システムレベルスクリプト
スクリプトファイルは、FileMaker Server 展開内のマスタマシン上の「Scripts」フォルダに配置する必要があります。実行するシステムレベルスクリプトをスケジュールするには、スクリプトスケジュールを作成してタイプに [システムスクリプト] を指定します。次に、実行するスクリプトファイルを選択します。
システムレベルスクリプトは、マスタマシン上のオペレーティングシステムレベルのタスクを実行できます。
FileMaker スクリプト
実行する FileMaker スクリプトをスケジュールするには、スクリプトスケジュールを作成してタイプに [FileMaker スクリプト] を指定します。次に、実行するスクリプトを含むデータベース、続いてスクリプトを選択します。
FileMaker スクリプトは単純なタスクと複雑なタスクのどちらも実行できます。たとえば、FileMaker スクリプトを作成して重複レコードを取り除く、または電話番号の形式を検証することができます。これらのスクリプトをスケジュールして、毎日のバックアップ前の休み時間に実行することもできます。
if-else 文を使用してスクリプトに条件分岐の判断を組み込んだり、loop 文を使用してスクリプトで反復作業を実行することができます。FileMaker Pro Advanced のスクリプトワークスペースを使用すると、スクリプトステップと呼ばれるサポートされている FileMaker Pro Advanced コマンドの一覧からコマンドを選択するだけでスクリプトを作成することができます。また、必要に応じてオプションを指定することもできます。
FileMaker スクリプトステップが FileMaker Server スケジュールでサポートされているかどうかを調べるには、スクリプトワークスペースにある互換性を表示するボタンから [サーバー] を選択します。FileMaker Pro Advanced ヘルプのスクリプトステップリファレンスを参照してください。
スクリプトシーケンス
スクリプトシーケンスを作成するには、スクリプトスケジュールを作成してタイプに [スクリプトシーケンス] を指定します。次に、実行する FileMaker スクリプトを含むデータベース、続いてスクリプトを選択します。次に、オプションの前処理システムレベルスクリプト、オプションの後処理システムレベルスクリプト、または両方を選択します。
システム使用状況の表示
Admin Console の [ダッシュボード] ページには、CPU 使用量、メモリ使用量、ネットワークスループット、ディスクのスループットに関する使用状況が表示されます。これらの使用状況は、システムパフォーマンスに影響するおそれがあるシステムのハードウェアの問題を診断するのに役立ちます。
サーバー使用状況およびクライアント使用状況の表示
FileMaker Server の接続とデータベース使用状況の概要を確認するには、サーバー使用状況のログ (Stats.log) およびクライアント使用状況のログ (ClientStats.log) を開きます。これらの使用状況は、パフォーマンスの問題やクライアントアクセスの問題を診断するのに役立ちます。表示される情報は次のとおりです:
- FileMaker Server がハードディスクではなくキャッシュ (RAM) からデータを取得した回数の割合、保存されないキャッシュの割合、ディスクから読み取られたデータ量、ディスクに書き込まれたデータ量、クライアントの呼び出し回数
- 各 FileMaker クライアント、すべての Web 公開エンジン (WPC) クライアント、すべての ODBC および JDBC クライアントによって実行されたリモート呼び出しの間に収集されたクライアント接続情報
FileMaker Server ヘルプを参照してください。
FileMaker クライアントへのメッセージ送信
サーバーのシャットダウン、データベースのメンテナンス、または期限の確認などの重要なイベントについて、FileMaker Pro Advanced、FileMaker Go、および FileMaker WebDirect クライアントに通知するメッセージを送信できます。次のようにしてメッセージを送信できます:
- 共有データベースに接続されているすべての FileMaker クライアント、または選択された FileMaker クライアント
- FileMaker Server によって共有されているデータベース、または選択されたデータベースに接続している FileMaker クライアント
FileMaker Server ヘルプを参照してください。
Admin Console でのログファイルのダウンロード
FileMaker Server では、アクティビティ、クライアントアクセス、および処理されるその他の情報が追跡され、情報はログファイルに記録されます。
ログファイルをダウンロードするには、Admin Console を開いて [構成] > [ログ] タブをクリックします。
FileMaker Server ヘルプを参照してください。
電子メール通知
FileMaker Server を構成して、エラーに関して SMTP 電子メール通知を送信できます。Admin Console で SMTP メールサーバー設定を指定します。設定には、SMTP サーバーアドレス、ポート番号、ユーザ名とパスワード、および電子メールメッセージを受信する電子メールのアドレスの一覧などがあります。
FileMaker Server ヘルプを参照してください。
コマンドラインインターフェースの使用
FileMaker では、CLI (コマンドラインインターフェース) での FileMaker Server の管理に fmsadmin
ツールが提供されています。CLI を使用するには、直接またはリモートデスクトップソフトウェアを使用して FileMaker Server を実行するコンピュータにログオンする必要があります。CLI は、コマンドプロンプト (Windows) またはターミナルアプリケーション (macOS) で使用できます。CLI コマンドはスクリプトまたはバッチファイルでも使用できます。
コマンドラインインターフェースファイル
CLI 実行可能ファイル「fmsadmin
」は、次のフォルダに置かれています:
- Windows: [ドライブ]:¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Database Server¥fmsadmin.exe
- macOS: /ライブラリ/FileMaker Server/Database Server/bin/fmsadmin
メモ
- Windows: デフォルト以外の場所に FileMaker Server をインストールする場合、デフォルトパスの先頭部分、¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server はインストール中に指定したパスに置き換えられます。例: ¥指定したパス¥Database Server¥fmsadmin.exe
- macOS:
fmsadmin
へのシンボリックリンクもインストールされます: /usr/bin/fmsadmin
コマンドラインインターフェースコマンド
fmsadmin
コマンドの一般的な形式は次のとおりです:
fmsadmin コマンド [オプション]
次の例は、Admin Console のユーザ名 admin とパスワード pword を認証し、確認を求めずに開いているすべてのデータベースを閉じます:
fmsadmin close -y -u admin -p pword
重要:CLI コマンドには、Admin Console 名とパスワードを含めることができます。コマンドが対話的に使用されている場合、ユーザ名は表示されますがパスワードは表示されません。スクリプトまたはバッチファイルのコマンドに名前とパスワードを含める必要がある場合は、必ずパスワードの所有者のみがスクリプトまたはバッチファイルを表示できるようにしてください。
CLI ヘルプ
CLI では、help
コマンドを使用して使用可能なコマンドとオプション、および使用方法の一覧を表示するヘルプページを表示できます:
fmsadmin help
既存のインストールのアップグレードと移動
概要
FileMaker Server 16 または 17 の既存のインストールを FileMaker Server 18 へアップグレードできます。また、FileMaker Server 18 の既存のインストールを他のマシンに移動することもできます。
FileMaker Server 18 の既存の展開のライセンスを変更する方法については、「FileMaker Server ライセンスキーの更新」を参照してください。
次のステップでプロセスを概説します。各ステップの詳細については残りのセクションを参照してください。
重要:以降のセクションに記載されているステップを順番に実行する必要があります。
- スケジュールの設定を保存します。
- 既存の FileMaker Server 設定をメモして記録します。
- FileMaker Server を停止します。
- FileMaker Server で使用したデータベースおよびシェルスクリプトファイルをコピーします。
- FileMaker Server をアンインストールします。
- Java キャッシュと Web ブラウザキャッシュをクリアして、以前の FileMaker Server インストールの情報を消去します。
- FileMaker Server 18 をインストールします。
- FileMaker Server の旧バージョンで使用したデータベースまたはスクリプトファイルを FileMaker Server のフォルダ構造内の適切なフォルダに移動します。
- インストール後にスケジュールの設定をロードします。
- FileMaker Server を構成します。
マシンのオペレーティングシステムをアップグレードする必要がある場合は、「FileMaker Server を実行しているマシンのオペレーティングシステムのアップグレード」を参照してください。
ステップ 1 スケジュールの保存
現在のインストールで構成されているスケジュールの設定を保存できます。
- Admin Console を開いて [構成] > [スクリプトスケジュール] タブをクリックします。
- [保存またはロード] をクリックして [すべてのスケジュールを保存] を選択します。デフォルトでは、ファイルは Web ブラウザのダウンロードフォルダに保存されます。
FileMaker Server のインストール後に、スケジュール設定ファイルをロードして新しいインストールですぐに構成できます。
メモ:スケジュール設定ファイルのデフォルト名は FileMaker Server のバージョンに対応しています:
- FileMaker Server 16: fms16_settings.settings
- FileMaker Server 17: fms17_settings.settings
- FileMaker Server 18: fms18_settings.settings
Admin Console でファイルを保存するときに別の名前を指定することはできませんが、ファイル名はファイルを保存した後で、オペレーティングシステムのツールを使用して変更できます。
ステップ 2 FileMaker Server 設定の記録
後で設定を手動で再入力する必要があるため、既存の FileMaker Server の設定をメモして記録します。記録する設定は、たとえば次のようなものです:
- FileMaker Server のインストールの名前 (FileMaker Pro Advanced では [ホスト] ダイアログボックスに表示される名前、FileMaker Go では起動センターに表示される名前) を記録します。
- スケジュール設定をファイルに保存します。「ステップ 1 スケジュールの保存」を参照してください。
- デフォルトから変更したその他の設定で FileMaker Server 18 の展開で再利用するものを記録します。
- カスタム SSL 証明書を使用している場合は、後でカスタム SSL 証明書をインポートできるように「CStore」フォルダに格納されている「serverCustom.pem」および「serverKey.pem」のコピーを保存してください。
FileMaker Server の設定を記録する場所
FileMaker Server の既存のインストールを別のマシンに移動する前に、Admin Console を起動します。(「Admin Console の開始」を参照してください。)次に [構成] タブの設定を記録します:
- FileMaker Server 17 および 18 の場合は、[構成]、[コネクタ]、および [管理] タブの設定を記録します。
- 前のバージョンの場合は、[一般設定]、[データベースサーバー]、および [Web 公開] パネルの設定を記録します。
ステップ 3 FileMaker Server の停止
-
Admin Console の [コネクタ] > [Web 公開] タブで、実行中の Web 公開エンジンをすべて停止します。
マスタマシンおよびワーカーマシン上の Web 公開エンジンが停止するまでお待ちください。
-
[構成] > [一般設定] タブで、データベースサーバーを停止します。
データベースサーバーが停止するまでお待ちください。
- FileMaker Server サービス (Windows) またはプロセス (macOS) を停止します。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
ステップ 4 データベース、スクリプト、およびプラグインの複製
FileMaker Server で使用したデータベース、シェルスクリプトファイル、およびプラグインを複製します。デフォルトの FileMaker Server のインストールでは、マスタマシンの次のフォルダに保存されます。
FileMaker Server 17 および 18 のファイル
Windows:
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Data¥Databases
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Data¥Secure
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Data¥Scripts
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Database Server¥Extensions
macOS:
- /ライブラリ/FileMaker Server/Data/Databases
- /ライブラリ/FileMaker Server/Data/Secure
- /ライブラリ/FileMaker Server/Data/Scripts
- /ライブラリ/FileMaker Server/Database Server/Extensions
FileMaker Server 16 のファイル
Windows:
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Data¥Databases
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Data¥Scripts
- ¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥Database Server¥Extensions
macOS:
- /ライブラリ/FileMaker Server/Data/Databases
- /ライブラリ/FileMaker Server/Data/Scripts
- /ライブラリ/FileMaker Server/Database Server/Extensions
メモ:Windows でデフォルト以外の場所に FileMaker Server をインストールする場合、デフォルトパスの先頭部分、¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server はインストール中に指定したパスに置き換えられます。例:
¥指定したパス¥Data¥Databases
ステップ 5 FileMaker Server のアンインストール
FileMaker Server の既存のインストールの設定を記録した後で、FileMaker Server をアンインストールできます。
メモ:複数のマシンの展開をアンインストールするにはワーカーマシンを最初にアンインストールしてください。
重要:アンインストールプロセスでは設定が削除されるため、保存する設定は忘れずにメモして記録してください。「ステップ 2 FileMaker Server 設定の記録」を参照してください。
Windows:
FileMaker Server をアンインストールするには、次の操作を行います:
- コントロールパネルを開いて [プログラムのアンインストール] (または [プログラムと機能]) をクリックします。
- 一覧から FileMaker Server 製品を選択して [アンインストール] をクリックします。
- アンインストールすることを確認します。
macOS:
FileMaker Server をアンインストールするには、次の操作を行います:
- /ライブラリ/FileMaker Server フォルダを開きます。
- Uninstaller のアイコンをダブルクリックします。
- アンインストールすることを確認します。
ステップ 6 Java キャッシュと Web ブラウザキャッシュのクリア
FileMaker Server をアンインストールした後でも、アンインストールした FileMaker Server コンポーネントが Java キャッシュによって引き続きポイントされている可能性があります。さらに、削除されたアートワークおよび HTML ファイルのキャッシュされたバージョンが Web ブラウザで維持されている可能性があります。
Java キャッシュと Web ブラウザキャッシュをクリアして、以前の FileMaker Server インストールの情報を消去します。
ステップ 7 FileMaker Server 18 のインストール
FileMaker Server をインストールするには、管理アクセス権を持つアカウントを使用します。
- 1 台のマシンに展開するには、「クイックスタートインストール (1 台のマシンの展開)」を参照してください。
- 複数のマシンに展開するには、「複数のマシンでの FileMaker Server の展開」を参照してください。
FileMaker Server インストーラによって、「ステップ 2 FileMaker Server 設定の記録」で記録した設定についてのメッセージが表示されます。
ステップ 8 ファイルの適切な場所への移動
FileMaker Server の旧バージョンで使用したスクリプトファイルおよびプラグインを、FileMaker Server 18 のフォルダ構造内の適切なフォルダに移動します。「ステップ 4 データベース、スクリプト、およびプラグインの複製」を参照してください。
メモ:FileMaker Pro Advanced を使用して、.fmp12 データベースを新しい FileMaker Server 展開に転送できます。「データベースのアップロード」を参照してください。データベースファイルを手動で転送するには、FileMaker Server ヘルプを参照してください。
重要:FileMaker Server 18 を使用していてスケジュール設定ファイルをロードして設定を転送する場合、ソースサーバーのインストールと同じフォルダ構造を新しい FileMaker Server インストールでも作成する必要があります。データベース、スクリプト、およびその他のソリューションファイルをソースインストールから新しい FileMaker Server インストールにコピーし、適切なアクセス権を macOS で設定します。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
ステップ 9 スケジュールのロード
以前の FileMaker Server 16、17、または 18 インストールから移動する場合、インストール後にスケジュール設定ファイルをロードします。「ステップ 1 スケジュールの保存」を参照してください。
重要:スケジュール設定ファイルをロードすると、新しい FileMaker Server インストールのすべての既存のスケジュールが削除され、スケジュール設定ファイルのスケジュールに置き換えられます。複数の FileMaker Server のスケジュール設定をマージすることはできません。
- 新しい FileMaker Server 17 インストールの Admin Console を開いて [構成] > [スクリプトスケジュール] タブをクリックします。
- [保存またはロード] をクリックして [すべてのスケジュールをロード] を選択します。
- [参照...] をクリックしてスケジュール設定ファイルを保存したフォルダに移動します。
- スケジュール設定ファイルを選択して、[選択] をクリックします。
- [ロード] をクリックしてスケジュール設定ファイルを FileMaker Server にロードします。
- メッセージを読んで正常にロードされたスケジュールの数を確認します。
- 「Logs」フォルダの「LoadSchedules.log」ファイルを開き、発生したエラーの詳細を確認して必要な修正を行います。
FileMaker Server ヘルプを参照してください。
ステップ 10 展開の構成
Admin Console を開始し、「ステップ 2 FileMaker Server 設定の記録」で記録した設定を使用して FileMake Server 展開を構成できます。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
SSL を使用している場合は、構成作業の一部としてカスタム SSL 証明書を忘れずにインポートしてください。
データベースのアップロード、バックアップのスケジュール、およびその他の標準タスクの実行方法の詳細については、「FileMaker Server の管理」を参照してください。
FileMaker Server を実行しているマシンのオペレーティングシステムのアップグレード
サポートされているオペレーティングシステムのバージョンの一覧については、FileMaker Server のシステム必要条件を参照してください。
セキュリティアップデートまたはオペレーティングシステムのマイナーアップデートの適用
セキュリティアップデートまたはオペレーティングシステムのマイナーアップデートを適用する場合、たとえば macOS 10.14.1 から 10.14.2 にアップデートする場合や Windows Update を使用する場合、FileMaker Server プロセスを停止してからアップデートを適用し、その後マシンを再起動します。
- スケジュールの設定を保存します。「ステップ 1 スケジュールの保存」を参照してください。(このステップは、システムアップデートによってアンインストールしてから再インストールする必要のある問題が発生した場合の予防措置です。)
- 既存の FileMaker Server 設定をメモして記録します。「ステップ 2 FileMaker Server 設定の記録」を参照してください。
- FileMaker Server を停止します。「ステップ 3 FileMaker Server の停止」を参照してください。
- FileMaker Server で使用したデータベースおよびシェルスクリプトファイルをコピーします。ファイルは外部のボリュームにコピーします。「ステップ 4 データベース、スクリプト、およびプラグインの複製」を参照してください。
- セキュリティアップデートまたはシステムアップデートを適用してから、マシンを再起動します。
- FileMaker Server が自動的に起動するように設定されていない場合は、FileMaker Server を手動で起動します。
- Admin Console を起動します。「Admin Console の開始」を参照してください。
- Admin Console を使用して、すべての FileMaker Pro Advanced データベースが共有されて FileMaker Server のすべての設定とスケジュールが保持されていることを確認します。
- エラーメッセージ、警告メッセージ、または予期しない設定変更がないかどうか FileMaker Server の「Event.log」を確認します。
- 問題が見つかった場合は FileMaker Server をアンインストールしてから再インストールし、アップデート適用前に保存したファイルおよび設定を復元します。アンインストールおよび復元の方法については、「システムのメジャーアップデートの適用」のステップ 5 から 11 までを参照してください。
fmsadmin start
コマンドについては、「CLI ヘルプ」または FileMaker Server ヘルプを参照してください。
システムのメジャーアップデートの適用
オペレーティングシステムのメジャーアップデートを適用する場合、たとえば macOS 10.13 から macOS 10.14 にアップデートする場合や Windows Server 2012 R2 から Windows Server 2016 にアップデートする場合は、FileMaker Server をアンインストールし、オペレーティングシステムをアップグレードしてから FileMaker Server を再インストールします。
- スケジュールの設定を保存します。「ステップ 1 スケジュールの保存」を参照してください。
- 既存の FileMaker Server 設定をメモして記録します。「ステップ 2 FileMaker Server 設定の記録」を参照してください。
- FileMaker Server を停止します。「ステップ 3 FileMaker Server の停止」を参照してください。
- FileMaker Server で使用したデータベースおよびシェルスクリプトファイルをコピーします。ファイルは外部のボリュームにコピーします。「ステップ 4 データベース、スクリプト、およびプラグインの複製」を参照してください。
- FileMaker Server をアンインストールします。「ステップ 5 FileMaker Server のアンインストール」を参照してください。
- Java キャッシュと Web ブラウザキャッシュをクリアして、以前の FileMaker Server インストールの情報を消去します。「ステップ 6 Java キャッシュと Web ブラウザキャッシュのクリア」を参照してください。
- オペレーティングシステムをアップグレードします。
- FileMaker Server 18 をインストールします。「ステップ 7 FileMaker Server 18 のインストール」を参照してください。
- FileMaker Server の旧バージョンで使用したデータベースまたはスクリプトファイルを FileMaker Server 18 のフォルダ構造内の適切なフォルダに移動します。「ステップ 8 ファイルの適切な場所への移動」を参照してください。
- インストール後にスケジュールの設定をロードします。「ステップ 9 スケジュールのロード」を参照してください。
- FileMaker Server を構成します。「ステップ 10 展開の構成」を参照してください。
Web サーバーの設定
Web サーバーの概要
FileMaker Server はすべての展開で Windows の IIS (インターネットインフォメーションサービス) または Apache (macOS) を使用します。Web サーバーは Web 公開クライアントに応答し、Web ベースの Admin Console アプリケーションを共有し、また一部のデータ転送タスクを処理します。
このセクションでは、カスタム SSL (Secure Sockets Layer) 証明書の要求、Web サーバーの有効化、および追加の IIS 認証設定の構成の基本について説明します。Web サーバーの構成の詳細については、Web サーバーのドキュメンテーションを参照してください。
SSL 証明書の要求
FileMaker Server は、Admin Console、FileMaker WebDirect、FileMaker Data API、およびカスタム Web 公開を使用する場合に Web サーバーとユーザの Web ブラウザ間で行われる HTTPS 接続を SSL テクノロジーを使用して暗号化します。データベースサーバーも、FileMaker Pro Advanced クライアント、FileMaker Go クライアント、および Web 公開エンジンとの接続に SSL 暗号化を使用することができます。
SSL はデータ暗号化に使用される公開キーの所有権を証明するデジタル証明書を使用します。FileMaker Server は FileMaker, Inc. によって署名された標準の SSL 証明書を提供しますが、サーバー名の検証は行われません。この証明書は、SSL を使用するすべての FileMaker Server コンポーネントによって使用されます。ただし、この証明書はサーバー名を確認しないため、多くの Web ブラウザはユーザに対して Web サイトのセキュリティ証明書の警告を表示します。一部の Web ブラウザでは証明書の問題がパフォーマンスや機能にも影響する可能性があります。この FileMaker デフォルト証明書はテスト用にのみ利用できます。
実際に運用環境で使用する場合はカスタム SSL 証明書が必要です。サーバーにカスタム SSL 証明書がない場合、Admin Console にセキュリティ警告が表示されます。
カスタム SSL 証明書をインポートする場合、FileMaker Server によってすべてのデータベースサーバークライアント接続で SSL の使用が有効になり、Web クライアントは HTTPS 接続のみに制限されます。
セキュア接続の詳細については、FileMaker Server ヘルプを参照してください。
FileMaker, Inc. がサポートする、信頼できる証明機関 (CA) にサーバー名またはドメイン名に一致するカスタム SSL 証明書を要求できます。CLI の certificate
コマンドを使用して CA に送付する証明書署名要求 (serverRequest.pem) および秘密に保管するプライベートキー (serverKey.pem) を作成します。「CLI certificate コマンドの使用」を参照してください。CA から署名付き証明書を受け取ったら、Admin Console を開いて [構成] > [SSL 証明書] タブをクリックして証明書をインポートします。
カスタム SSL 証明書ファイルは「CStore」フォルダに配置されます:
- Windows: [ドライブ]:¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥CStore¥serverCustom.pem
- macOS: /ライブラリ/FileMaker Server/CStore/serverCustom.pem
カスタム SSL 証明書を更新した後は、データベースサーバーを再起動します。
データベースサーバーの起動時にカスタム SSL 証明書が見つからない場合はデフォルトの「server.pem」ファイルが使用されます。
データの保護の詳細については、FileMaker Server ヘルプを参照してください。
メモ
- FileMaker Server はシングルドメイン証明書、ワイルドカード証明書、およびサブジェクトの別名 (SAN) 証明書の使用をサポートしています。
- FileMaker の方法でカスタム SSL 証明書をインポートします。Admin Console の証明書インポート機能または CLI の
certificate
コマンドを使用します。データベースサーバーおよび Web サーバーコンポーネントには同じ証明書を使用する必要があるため、FileMaker Server の Web サーバーコンポーネント用として IIS 証明書ツールや OpenSSL 証明書ツールを使用してカスタム SSL 証明書をインポートしないでください。 - カスタム SSL 証明書では、Base 64 エンコーディングを使用する必要があります。
- FileMaker Server は、証明書失効リストを使用した検証 (CRL 検証) をサポートしていません。
- 複数のマシンの展開を使用している場合は、マスタマシンとワーカーマシンのカスタム SSL 証明書を要求します。それぞれのマシンにカスタム SSL 証明書をインポートしてください。
- インポートした証明書を取り除くには、CLI コマンドの
fmsadmin certificate delete
を使用し、FileMaker Server を再起動して変更を適用します。「CLI ヘルプ」を参照してください。 - サポートされる証明書の詳細については、FileMaker ナレッジベースを参照してください。
CLI の certificate
コマンドを使用してシングルドメイン証明書およびワイルドカード証明書の要求を作成できます。SAN 証明書を使用する場合は、CA に確認して証明書署名要求を作成してください。
CLI certificate コマンドの使用
FileMaker Server を使用して完全なセキュア SSL 接続のためのサーバー名、またはドメインネームシステム (DNS) に一致する署名済みの証明書を作成するには CLI certificate
コマンドを使用します。
FileMaker Server には、データベースサーバーにインストールされるデフォルトの証明書、および FileMaker Pro Advanced と FileMaker Go ソフトウェアに同梱されているルート証明書が含まれています。この証明書を使用している場合、データベースサーバーを実行するマシンにサーバー証明書がインストールされていること、およびクライアント証明書が FileMaker Pro および FileMaker Go クライアントコンピュータにインストールされていることを確認してください。
certificate
コマンドを使用して、固有のサーバー名または DNS 名に一致する CA から署名済みの証明書を要求できます。CA は所有者の公開キーと ID を含むデジタル証明書を発行します。証明書要求を作成すると、公開キーに対応するプライベートキーが生成されます。
- CA に送信する証明書要求ファイルを作成するには
certificate create
コマンドを使用し (serverRequest.pem)、さらにcertificate import
コマンドによって暗号化されたプライベートキーファイルが使用されます (serverKey.pem)。 - カスタムサーバー .pem ファイルを作成するには、
certificate import
コマンドを使用します。カスタムサーバー .pem ファイルは、CA から受信した証明書ファイルとcertificate create
コマンドによって作成される暗号化されたプライベートキーファイルを組み合わせます。
メモ:「serverKey.pem」ファイルに情報を書き込むには管理者権限が必要です。管理者権限がない場合、Windows または macOS でエラーが生成されます。このエラーを防ぐには次の操作を行います:
- Windows: [管理者として実行] を使用してコマンドプロンプトウインドウを開きます。
- macOS: sudo として認証してスーパーユーザとしてコマンドを実行します。
構文
fmsadmin certificate create server_name
fmsadmin certificate create subject
fmsadmin certificate import certificate_file
オプション
server_name | subject
certificate create
コマンドには、server_name
または subject
が必要です。
server_name
は、共有ファイルを FileMaker ネットワークプロトコル、fmnet で開く場合にクライアントによって使用される値です。
たとえば、FileMaker Pro Advanced クライアントで、fmnet:/salesdbs.mycompany.com/sales
を使用して共有データベース sales を開く場合、次のコマンドで salesdbs.mycompany.com を server_name
として使用します:
fmsadmin certificate create salesdbs.mycompany.com
subject
を使用すると、サーバー名より多くの情報を含めることができます。(一部の証明機関では追加情報が要求されます。) subject
では、openssl req [-subj arg]
コマンドの引数と同じ構文を使用します:
-
subject
で大文字と小文字は区別されません。 -
subject
は/type0=value0/type1=value1/type2=...
のような書式にする必要があります。type=value
の各ペアは、属性タイプと相対識別名を指定する値です。 - 特殊文字をエスケープするには、円通貨記号またはバックスラッシュ (\) を使用します。
- スペース文字が含まれている場合は、ダブルクォーテーションマークを使用して subject の文字列を囲みます。
たとえば、DNS 共通名「salesdbs.mycompany.com」と国の値「US」を使用するには、次のコマンドを使用します:
fmsadmin certificate create /CN=salesdbs.mycompany.com/C=US
次の例は subject オプションを使用して指定できる追加の属性を示します:
fmsadmin certificate create "/CN=ets-srvr.filemaker.com/O=FileMaker DBS Test/C=US/ST=California/L=Santa Clara"
certificate create
コマンドでは、2 つの出力ファイルが作成されます:
- 証明書要求ファイル「serverRequest.pem」
CA によって提供されたプロセスを使用して「serverRequest.pem」ファイルを送信します。 - 暗号化されたプライベートキーファイル「serverKey.pem」
certificate import
コマンドは、このファイルと CA から返された証明書ファイルを結合します。
certificate_file
certificate import
コマンドには、certificate_file
が必要です。
certificate_file
は、CA から受信したカスタム SSL 証明書ファイルの完全パス名です。絶対パス名または相対パス名を使用できます。
たとえば、certificate_file が c:¥Documents¥signedCertificate.crt の場合は次のコマンドを使用します:
fmsadmin certificate import c:¥Documents¥signedCertificate.crt
certificate import
コマンドは、署名済みの証明書ファイルを「serverKey.pem」ファイルと結合し、「serverCustom.pem」という名前のファイルを作成します。「serverCustom.pem」ファイルは「CStore」フォルダに作成されます:
- Windows: [ドライブ]:¥Program Files¥FileMaker¥FileMaker Server¥CStore¥serverCustom.pem
- macOS: /ライブラリ/FileMaker Server/CStore/serverCustom.pem
certificate import
コマンドを使用するには次が必要です:
- Windows: 「CStore」フォルダへの管理者権限が必要です。
- macOS: 「CStore」フォルダへの読み/書きアクセス権が必要です。
certificate import
コマンドを使用した後は、データベースサーバーを再起動する必要があります。再起動後にデータベースサーバーにカスタム SSL 証明書が見つからない場合はデフォルトの「server.pem」ファイルが使用されます。
Windows での IIS Web サーバーの有効化
FileMaker Server を動作するようにするには、マスタマシンとワーカーマシンで IIS Web サーバーを有効にする必要があります。
FileMaker Server インストーラが IIS が有効になっていないことを検出した場合、インストーラが IIS を有効にします。また、Microsoft Application Request Routing (ARR) extension for IIS がインストールされていない場合、FileMaker Server インストーラによってインストールされます。ただし、IIS を手動で有効にする必要がある場合は、ご使用の Windows のサポートするバージョンについて下記の手順に従ってください。
スタートメニューのあるバージョンの Windows の場合、次の手順で IIS を有効にします:
- [スタート] メニュー > [管理ツール] > [サーバーマネージャ] をクリックします。
- [役割の追加] をクリックします。
- 役割の追加ウィザードで [Web サーバー (IIS)] を選択して [次へ] をクリックします。
- インストールする IIS 役割サービスを選択します。[次へ] をクリックしてデフォルトを許可します。
- 必要に応じて他の役割サービスを追加します。
Windows スタート画面のあるバージョンの Windows の場合、次の手順で IIS を有効にします:
- Windows スタート画面で、[サーバーマネージャ] を選択します。
- [管理] メニュー > [役割と機能の追加] をクリックします。
- [役割ベースまたは機能ベースのインストール] を選択して [次へ] をクリックします。
- サーバーを選択して [次へ] をクリックします。
- [Web サーバー (IIS)] を選択して [次へ] をクリックします。
- 必要に応じて追加機能を選択して [次へ] をクリックします。
- [次へ] をクリックします。
- インストールする IIS 役割サービスを選択します。[次へ] をクリックしてデフォルトを許可します。
- 選択内容を確認して [インストール] をクリックします。
Web サーバーが実行中であることを確認するには、Web サーバーホストマシンの Web ブラウザで
“http://127.0.0.1
”と入力します。
インストール中に、FileMaker Server インストーラは既存の Web サイトがポート 80 または 443 (既定の Web サイトはポート 80 を使用しますが、これは最初に IIS を有効にしたときに有効になります) を使用していないかどうかを確認します。これらのポートが使用中の場合、インストーラはこれらのポートを利用可能にするように求めるメッセージを表示します。続いて、インストーラは FMWebSite という独自の Web サイトを作成して HTTP にはポート 80、HTTPS にはポート 443 を使用するように構成します。マスタマシンでは、インストーラは FMWebSite が Admin Console 用に HTTPS でのポート 16000 を使用するように構成します。
IIS の詳細については、Microsoft の Web サイトを参照してください。
IIS の FMWebSite 認証の設定
FileMaker Server は、カスタム Web 公開で公開されたパスワードで保護されたデータベースの認証を処理します。FileMaker Server による認証の他に FMWebSite サイト用に Web サイトの IIS 認証も使用するかどうかを選択できます。
次の構成から選択することができます:
- IIS 認証を無効にする: IIS の認証方法をすべて無効にして、FMWebSite サイトへの匿名アクセスを使用することができます。これは最も単純な構成です。「IIS 認証の無効化」を参照してください。
- IIS 認証は有効なまま基本認証も有効にする: 現在の IIS の認証方法は有効なままにして他の Web サイトに使用し、Web 公開エンジンには FMWebSite サイト用の基本認証を使用します。また、Web 上で公開される FileMaker データベースのユーザアカウントに完全に一致する Windows ユーザアカウントを設定する必要があります。「IIS 認証の有効化」を参照してください。
IIS 認証の無効化
デフォルトでは、Windows IIS ディレクトリセキュリティは、IIS Web サーバーを経由したすべての要求を認証します。FileMaker Server で IIS を使用する最も簡単な方法は、IIS 認証を無効にすることです。IIS の認証方法をすべて無効にして FMWebSite サイトへの匿名アクセスを使用する場合は、Windows ユーザアカウントを追加する必要はありません。
IIS 認証を無効にするには次の操作を行います:
- コントロールパネルを開いて、[システムとセキュリティ] > [管理ツール] > [インターネットインフォメーションサービス (IIS) マネージャ] を選択します。
- [インターネットインフォメーションサービス (IIS) マネージャ] で、[FMWebSite] サイトを選択します。Web サイトを確認するために、いくつかのノードを展開する必要があります。
- 中央のウインドウで [認証] をダブルクリックします。
-
[認証] ウインドウで次の操作を行います:
- [匿名認証] が有効であることを確認します。
- 他のすべての認証方法を無効にします。
IIS 認証の有効化
IIS Web サーバーの IIS の認証方法を有効にする場合は、Web 公開エンジンに接続する FMWebSite サイトの基本認証を有効にする必要があります。Web 公開エンジンでは基本認証のみが使用されます。Web サーバー上の他の Web サイトでは IIS の他の認証方法を使用できます。
この方法では、Web サーバーホストマシン上に、ユーザ名とパスワードを含む Windows ユーザアカウントを作成する必要があります。これらのユーザ名とパスワードは、カスタム Web 公開で公開された FileMaker データベースで定義された、パスワードで保護されたアカウントすべてについてのユーザ名とパスワードに正確に一致する必要があります。
次の手順はサポートするバージョンの Windows それぞれに基本認証をインストールし、認証を有効にする方法を示しています。
スタートメニューのあるバージョンの Windows の場合、次の手順で IIS 基本認証をインストールします:
- [スタート] メニュー > [管理ツール] > [サーバーマネージャ] をクリックします。
- [役割の追加] をクリックします。
- 役割の追加ウィザードで [Web サーバー (IIS)] を選択して [次へ] をクリックします。
- [Web サーバー] > [セキュリティ] を選択します。[基本認証] が有効であることを確認します。
- ウィザードの終わりに達するまで [次へ] をクリックして [閉じる] をクリックします。
Windows スタート画面のあるバージョンの Windows の場合、次の手順で IIS 基本認証をインストールします:
- Windows スタート画面で、[サーバーマネージャ] を選択します。
- [管理] メニュー > [役割と機能の追加] を選択します。
- [役割ベースまたは機能ベースのインストール] を選択して [次へ] をクリックします。
- サーバーを選択して [次へ] をクリックします。
- [Web サーバー (IIS)] を選択して [次へ] をクリックします。
- 必要に応じて追加機能を選択して [次へ] をクリックします。
- [次へ] をクリックします。
- [Web サーバー] > [セキュリティ] を選択します。[基本認証] が有効であることを確認します。
- ウィザードの終わりに達するまで [次へ] をクリックして [閉じる] をクリックします。
IIS 認証を有効にするには、次の操作を行います:
- コントロールパネルを開いて、[システムとセキュリティ] > [管理ツール] > [インターネットインフォメーションサービス (IIS) マネージャ] を選択します。
- [インターネットインフォメーションサービス (IIS) マネージャ] で、[FMWebSite] サイトを選択します。Web サイトを確認するために、いくつかのノードを展開する必要があります。
- 中央のウインドウで [認証] をダブルクリックします。
-
[認証] ウインドウで次の操作を行います:
- [匿名認証] を有効にします。
- [基本認証] を有効にします。
macOS での Apache Web サーバーの使用
macOS とともにインストールされる Apache Web サーバーの有効化や、macOS Server アプリケーションのインストールは必要ありません。FileMaker Server インストーラが Apache Web サーバーの独自のインスタンスをマスタマシンおよびワーカーマシンの両方に作成し、この Web サーバーが HTTP にはポート 80 を、HTTPS にはポート 443 を使用するように構成します。マスタマシンでは、インストーラは Apache Web サーバーが Admin Console 用に HTTPS でのポート 16000 を使用するように構成します。macOS とともにすでにインストールされている Apache Web サーバーを有効にしている場合、FileMaker Server インストーラはポートを利用可能にするように求めるメッセージを表示します。
macOS Server アプリケーションを使用して Web サイトまたは wiki などの HTTP サービスを有効にしている場合、FileMaker Server がインストールされるときに既存の Apache インスタンスが再度有効になることがあります。FileMaker Server が使用する Apache インスタンスが正常に動作するようにするには、他の HTTP サービスが FileMaker Server が使用するポートと異なるポートを使用するように構成するか、他の HTTP サービスを無効にするか、または macOS Server アプリケーションをアンインストールする必要がある場合があります。
FileMaker Server 展開の最適化
概要
このセクションでは、適切なハードウェアの選択、オペレーティングシステムの構成、FileMaker Server の効率的な実行に役立つ問題点の識別方法、そしてサーバーパフォーマンスの監視についてのヒントを紹介します。会社に IT グループがある場合、効率的なサーバーの実行を維持するためのサポートおよびガイダンスを提供します。
正しいハードウェアの選択
サーバー用のハードウェアを選択する前に、サーバーにアクセスするユーザの人数を考慮してください。多数のユーザがデータベースにアクセスする場合、ハードドライブおよびプロセッサの使用率はきわめて高くなることが予測されます。多量のデータにアクセスするデータベースサーバーにはより多くのリソースが必要となるため正しい準備が必要です。
ハードウェアを選択するときは、次の主要分野を考慮してください:
- ディスクサブシステム: ディスクサブシステムは、統合集約されたディスクドライブを備えるディスクストレージの種類です。データベースに格納されたデータの読み取り/書き込みを行うのがこのサブシステムであるため、FileMaker Server 用のハードウェアの購入で考慮するべき最も重要な要素です。データの読み取り/書き込みを効率的に実行できる高速で最適化されたディスクサブシステムの存在は、データベースの性能に大きな影響を与えます。選択したドライブのタイプにかかわらず、共有データベース用にサブシステムが RAID (Redundant Array of Inexpensive Disk) または信頼できる SAN (Storage Area Network) をサポートするように構成します。
- プロセッサ: FileMaker Server では、情報の検索、未保存の計算式の評価、リレーションシップの解決など、多数のプロセッサ負荷処理を取り扱うため、ディスクサブシステムと同様にプロセッサの選択も重要です。FileMaker Server では複数のプロセッサを利用できるという利点があるため、特定のデータベースタスクを異なるプロセッサで処理することができます。
- ネットワーク: ネットワークスループットは、システム上のさまざまなツールを使用して計測することができます。ネットワークスループットの質はいくつかの要因によって異なります。その要因には、設置された NIC (ネットワークインターフェースカード)、およびネットワークの物理的インフラストラクチャなどがあります。ネットワークインフラストラクチャは自分で変更できない場合もありますが、ネットワーク構成、トラフィック、ルーティングによっては問題が発生します。ユーザは、LAN または WAN 接続によってデータベースに接続し作業することができます。FileMaker Server で共有されているデータベースにインターネットまたは WAN で接続するには、TCP 用にいくつかのポートを開く必要があります。
-
メモリ: データベースが使用するメモリの量は、データベースのサイズ、データベースのタイプ、ユーザの数、データベースの複雑性によって異なります。これらの要素はそれぞれ多くのメモリを必要とします。FileMaker Server におけるもう 1 つの重要な要素はキャッシュです。
データベース RAM キャッシュのサイズは、次の 2 つの計算式の小さい方の正数です:
- 物理 RAM サイズ - 1024 MB (1 GB)
- 物理 RAM サイズの 90%
1 台のマシンの展開で Web 公開を有効にした場合、データベースキャッシュを最大サイズの 50% を超えないように構成します。
データベースキャッシュのサイズを指定するには、CLI コマンド
set serverconfig cachesize
を使用します。たとえば、キャッシュサイズを 1024 MB に設定するには、コマンドfmsadmin set serverconfig cachesize=1024
を使用します。「CLI ヘルプ」を参照してください。
メモ:展開中に、FileMaker Server は物理 RAM サイズに基づいてメモリの使用を構成します。RAM を追加または取り除く場合は、FileMaker Server がコンポーネントに最適なメモリの使用を再計算できるように、CLI コマンドを使用してキャッシュサイズを手動で変更するか、FileMaker Server を再インストールする必要があります。
仮想サーバー
仮想化により、独立した仮想環境にサーバーを分割するソフトウェアアプリケーションを使用できるため、オペレーティングシステム、およびその特定のアプリケーションまたはサービスの複数のインスタンスを実行することが可能になります。一部の IT 部署では、コスト削減およびハードウェアの性能をフルに活用する方法として仮想化を使用しています。
FileMaker Server は仮想マシンでの実行をテスト済みです。FileMaker Server を仮想環境で使用する場合、物理的ハードウェアにかかる負荷についてマシンを監視する必要があります。
オペレーティングシステムのセットアップおよび構成
サーバーの実行を確実かつ効率的に維持するにはいくつかの計画が必要です。このセクションでは、FileMaker Server を実行するマシンでのオペレーティングシステムのセットアップと構成について説明します。
Windows のセットアップおよび構成
推奨事項 | 実行方法 |
---|---|
オペレーティングシステムおよびその他の主要ドライバの更新 | 次の項目を含む BIOS、ファームウェア、ドライバが更新されていることを確認します:
|
Windows 更新のインストール | 最新のサービスパッチおよび更新を確認してインストールします。サポートされている Windows のバージョンおよびサービスパックの詳細については、FileMaker Server のシステム必要条件を参照してください。 |
ディスクサブシステムの構成 | ディスクアレイを 3 つの論理パーティションに構成します。
|
ファイル共有を使用しない | FileMaker Server のデータベースサーバーコンポーネントは FileMaker データベースに直接アクセスし、FileMaker クライアントによるネットワークアクセスを処理します。ファイル共有は必要ありません。 |
不必要なサービスの無効化 | Windows がデフォルトで有効にするサービスのうち、FileMaker Server の適切な機能に必要のないものを無効にします。FileMaker Server サービスにはハードドライブおよびネットワークへのアクセスのみが必要です。 |
その他の Windows 設定の無効化 | FileMaker Server を実行するシステムを最適化する際に次の設定の変更を考慮します:
|
Windows ファイアウォールの構成 | 開くポートを確認してマスタおよびワーカーマシンのファイアウォールを構成します。「FileMaker Server をインストールする前に」を参照してください。 |
ウイルススキャンの構成 | 共有データベースを含むフォルダやデータを外部に保存するオブジェクトフィールドのファイルを含むフォルダは、ウイルス対策ソフトウェアがスキャンしないようにしてください。ファイルがユーザに共有されている間に、リアルタイムまたはオンアクセスウイルススキャンを許可すると、ウイルス対策ソフトウェアでファイルが破損する場合があります。リアルタイムスキャンでは、ウイルススキャンがデータベースファイルのスキャンに長時間費やすことがあり、これによりサーバーのディスク、メモリ、プロセッサに大きな負荷をかけることになります。 |
ハードドライブのデフラグ | ライブデータベース (バックアップではない) を含むハードドライブパーティションを定期的にデフラグします。ただし、ファイルを共有している間はパーティションをデフラグしないでください。 メモ:デフラグの前に、Admin Console でライブ共有されているすべてのファイルを閉じます。FileMaker Server ヘルプを参照してください。 |
macOS のセットアップおよび構成
推奨事項 | 実行方法 |
---|---|
ライブで共有しているデータベースに影響を与える可能性のあるサービスを避ける | ライブで共有されているデータベースファイルのコピーまたはアクセスを許可するサービスやアプリケーションはデータベースの破損の原因になる可能性があります。FileMaker Server に負荷がかかっているときに直接アクセスされたファイルは破損する場合があります。破損を防ぐには、共有ファイルにアクセスするプロセス、サービス、またはアプリケーションを取り除く必要があります。 |
ファイル共有を使用しない | FileMaker Server のデータベースサーバーコンポーネントは FileMaker データベースに直接アクセスし、FileMaker クライアントによるネットワークアクセスを管理します。ファイル共有は必要ありません。 |
Spotlight をオフにする | Spotlight インデックスは FileMaker Server のパフォーマンスに影響を与える場合があります。Spotlight サービスは、情報がハードドライブに書き込まれる際にこれを自動的に監視し、高速なファイル検索のためにそのデータにインデックスを作成するサービスです。 |
Time Machine を使用しない | Time Machine は自動的にファイルをバックアップするアプリケーションですが、ライブの FileMaker データベースのように使用中のファイルはバックアップしません。Time Machine を使用すると、データベースをバックアップするように構成されている場合、ファイルは破損しませんが CPU に大きな負荷がかかります。問題を回避するには、データベースが格納されている場所を Time Machine の環境設定の [バックアップから除外する項目:] セクションに追加します。 |
FileVault を有効にしない | FileVault は macOS の起動ボリューム全体を暗号化するために使用されます。FileMaker Server マシンでは FileVault を有効にしないでください。これは、ハードドライブ上のどのデータの移動に対してもソフトウェアの追加のレイヤーと、より大きなプロセッサ処理を必要とします。代わりに、FileMaker Pro Advanced を使用してデータベースを暗号化します。「データベースの暗号化」を参照してください。 |
Dashboard アプリケーションを実行していないことを確認する | Dashboard アプリケーションはウィジェットと呼ばれる特殊なアプリケーションの実行を許可します。ログアウトするか Dashboard アプリケーションを終了します。(Dashboard アプリケーションはユーザがログアウトすると終了します。) Dashboard アプリケーションを実行しないことでサーバーのリソースがウィジェットの実行に消費されなくなります。 |
ファイアウォールの構成 | macOS のファイアウォールはデフォルトでは無効になっています。[システム環境設定] を開いてファイアウォールを有効にすることができます。FileMaker Server への受信接続を許可するようにファイアウォールを構成してください。FileMaker Server をはじめて展開する場合、macOS は FileMaker Server コンポーネントの受信接続の許可を確認します。 |
ディスクアクセス権と S.M.A.R.T. ステータス | macOS は UNIX で構築されているため、共有データベースに対する根本的なアクセス権が不適切に設定される場合があります。データベースが正しい場所にあっても、FileMaker Server でアクセス権を変更できないためアクセスできない状況が発生する可能性があります。FileMaker Pro Advanced を使用してデータベースをアップロードして適切なファイルアクセス権を設定します。FileMaker Server ヘルプを参照してください。 |
セキュリティ | デフォルトでは、macOS システムのコンピュータを起動するとまずデスクトップが表示されます。FileMaker Server を実行するためのログインは必要ありません。 |
ウイルススキャンの構成 | 共有データベースを含むフォルダやデータを外部に保存するオブジェクトフィールドのファイルを含むフォルダは、ウイルス対策ソフトウェアがスキャンしないようにしてください。ファイルがユーザに共有されている間に、リアルタイムまたはオンアクセスウイルススキャンを許可すると、ウイルス対策ソフトウェアでファイルが破損する場合があります。リアルタイムスキャンでは、ウイルススキャンがデータベースのスキャンに長時間費やすことがあり、これによりサーバーのディスク、メモリ、プロセッサに大きな負荷をかけることになります。 |
データベースパフォーマンスの考慮
データベースの設計が FileMaker Server のパフォーマンスに影響を与えることがあります。データベースを設計する際は、データベースを使用するクライアントを考慮して、クライアントのために設計を簡素化する方法を検討します。
-
すべてのクライアントのパフォーマンスを向上させるには、次の使用を制限します:
- 外部テーブル
- 複雑なテーブルリレーションシップ
- 非保存計算
- 値一覧
- スクリプトトリガ
- [サーバー上のスクリプト実行] スクリプトステップ
- FileMaker Pro Advanced クライアントには、レイアウトパフォーマンスを最適化し、検索パフォーマンスを改善し、条件付き書式を減らし、アイドル状態のユーザをサーバーから接続解除するようにします。FileMaker Pro Advanced ヘルプを参照してください。
- FileMaker WebDirect クライアントには、ポータルおよびパネルコントロールの数を最小限に抑え、リスト形式およびポータルで表示するオブジェクトの数を最小限にします。FileMaker WebDirect ガイドを参照してください。
- カスタム Web 公開クライアントには、検索条件に対して返されるレコードの数を最小限に抑え、フィールドデータの入力値の制限の事前チェックを減らします。『FileMaker Server カスタム Web 公開ガイド』を参照してください。
- 共有データベースのパフォーマンスに関する問題を特定するには、Admin Console の [最長呼び出しの使用状況] 設定を使用します。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
- 起動復元はデフォルトで有効になっています。起動復元により信頼性が向上します。複数のユーザがデータベースにアクセスした場合のパフォーマンスも向上させることができます。ただし、起動復元は 1 人のユーザに対するパフォーマンスに影響する場合があります。FileMaker Server ヘルプを参照してください。
FileMaker Server の監視
サーバーの監視は問題の認識および防止のために重要です。
- ユーザがシステムクラッシュまたは非常に遅いパフォーマンスなどの問題を報告している場合、問題の原因は何かを突き止めるための良い監視ツールが必要となります。
- 将来のハードウェアのニーズを分析する、状況を監視する際に基準を測定する、またはサーバーの状態に対して理解を深めることで将来的な問題を防ぐことができます。
Windows でのパフォーマンスの監視
FileMaker Server を Windows システムで監視するには、perfmon としても知られるパフォーマンスモニタというツールを使用します。perfmon により、使用メモリ、ディスクアクセス時間、さまざまなプロセスのログ統計など、実行中のアプリケーションがどのようにコンピュータのパフォーマンスに影響しているかどうかを調べることができます。一部のログ情報は明らかなボトルネックや負荷ポイントを示しますが、ほとんどの情報はより詳細な分析を必要とする場合があります。
メモ:perfmon を使用するには、Windows のローカル管理者グループまたは同等のアクセス権限が必要です。Windows ヘルプとサポートを参照してください。
Windows でパフォーマンスを監視する際に役立つログには 5 種類あります:
- プロセッサ: プロセッサ活動とアイドル時間をログしています。[% プロセッサ時間] をプロセッサ活動の主要インジケータとして選択し、活動が多い時間の平均割合を表示します。プロセッサのアイドル時間を表示するには、[% アイドル時間] を選択します。
- NIC (ネットワークインターフェースカード): 各ネットワークアダプタを通して送受信されたバイト数、発信パケットキューの長さ (単位: パケット)、受信パケットおよび送信パケットのエラーをキャプチャします。
- メモリ: プロセスへの割り当てまたはシステム使用が即時可能な物理メモリの量を記録します。また、メモリ、システムキャッシュのキャッシュバイト数、キャッシュフォールト、ページフォールト、読み取り操作数、ディスクに書き込まれたページ数もログに含まれます。
- プロセス: 時間、読み取りおよび書き込みレート、ページフォールト、スレッドカウント、仮想アドレススペース、およびこのプロセスが割り当てられているメモリの現在のサイズ (単位: バイト) など、プロセス上の統計をログしています。
- ディスク: ディスク読み取り時間、ディスク書き込み時間、ディスクのアイドル時間割合 (%)、未解決の要求の数、ディスクにおける分割入力および分割出力をキャプチャします。
メモ: Windows イベントビューアに含まれるアプリケーションログとシステムログは、サーバーのパフォーマンス状態を理解するのに役立ちます。これらの示数は、ユーザ、システム、サービスレベルでの活動を理解する手がかりになります。
デフォルトでは、パフォーマンスログは特定のカウンタのリアルタイム統計を表示します。パフォーマンスログを表示するには、Windows の [管理ツール] > [パフォーマンスモニター] を開いて [モニターツール] > [パフォーマンスモニター] に移動します。
macOS でのパフォーマンスの監視
FileMaker Server 展開のパフォーマンスの監視は、計画、リソース管理、およびトラブルシューティングに役立ちます。macOS には、サーバーパフォーマンスを監視する際に使用できる 4 つの重要なツールがあります:
- アクティビティモニタ:現在実行中のすべてのプロセスの一覧、そしてコンピュータ全体の活動についてのいくつかの情報を提供します。
- macOS Server アプリケーション: オペレーティングシステム上のさまざまなサービスの管理に使用できるツールを提供し、CPU 使用率、ネットワークトラフィック、およびメモリ使用率をグラフィックインターフェースで監視することができます。ただし、macOS Server で HTTP サービスを有効にすると競合が発生する可能性があることに注意してください (「macOS での Apache Web サーバーの使用」を参照してください)。
- Top: macOS 向け UNIX エンジンの一部であるコマンドラインプログラムです。Top の実行中は、マシンで実行中のプロセスをプロセス ID で分類して一覧表示することができます。
- SAR (System Activity Reporter): macOS にデフォルトでインストールされているコマンドラインプログラムです。このプログラムは、SADC (System Activity Data Collector) と SAR (System Activity Reporter) の 2 つの基本ツールから成り立っています。長時間にわたって自動的にデータを収集し、このデータを後で分析するように設計されています。SAR により収集されるデータは累積統計カウンタのレポートです。
アクティビティモニタおよび macOS Server の詳細については、ヘルプを参照してください。コマンドラインツールの情報については、ターミナルアプリケーションを開いてマニュアル (man ページ) を参照してください。
Zabbix によるパフォーマンスの監視
Zabbix は無料のオープンソースソフトウェアで、FileMaker Server インストールを監視するために使用できます。FileMaker Server はポート 10050 を有効にして Zabbix によるパッシブチェックを可能にし、ポート 10051 を有効にして Zabbix のアクティブチェックをサポートします。
FileMaker Server で Zabbix を使用するには、FileMaker Community をご覧ください。
追加のリソース
製品マニュアル
- Admin Console の各ページから FileMaker Server ヘルプにアクセスできます。ページの下までスクロールして [ヘルプ] をクリックします。
- Admin Console の各ページから FileMaker Server ドキュメンテーションにアクセスできます。ページの下までスクロールして [マニュアル] をクリックします。
- Web 上でプロダクトドキュメンテーションセンターにアクセスします。
カスタマサポートとナレッジベース
- インストール、起動、再インストールに関するヘルプは、サポートをご覧ください。
- FileMaker Server に関するヒント、技術的なアドバイスの詳細については、FileMaker ナレッジベースをご覧ください。
- 他のユーザに質問してアドバイスを受ける場合は、FileMaker Community をご覧ください。
メモ:FileMaker ナレッジベースおよび FileMaker Community の情報はすべての言語には対応していません。
ソフトウェア更新の確認
Admin Console の [構成] > [一般設定] タブでソフトウェアの更新を確認します。ソフトウェアの更新が利用可能になっている場合は、[サーバーバージョン] にリンクが表示されます。リンクをクリックして更新をダウンロードしてください。